新型インフルエンザ情報
豚由来の新型インフルエンザに関して、WHO(世界保健機関)では流行の「最盛期」を越えたとの声明を発表した。ただし、これから冬期を迎える南半球の状況を見なければこのまま終息するのか判断がつかないため、警戒レベルは最高度のフェーズ6に据え置いたままとするという。終息宣言はしばらく先になりそうだ。
6月1日に開催された「新型インフルエンザに関する専門家緊急委員会」では、感染が目立つ熱帯地方のうち、カリブ海、東南アジアでは流行が弱く、散発的な発生に留まっているとし、さらにこれから冬に向かう南半球の温帯地方でも感染の拡大は起きていないことを確認している。しかし、昨年の例を見ると、南半球では秋以降の気温低下に伴って流行が急拡大しており、今の時期は流行状況を注意深く見守る必要がある。
おそらく比較的近い時期に、豚由来新型インフルエンザ流行の終息が宣言されることになるだろう。しかし、これで安心してはいけない。今回の新型インフルエンザは結果的に弱毒であり、対策に過剰反応していたものの人類に大きな混乱を招くこともなかった。今回の新型インフルエンザは、本当に深刻な問題になる可能性が大きい「鳥由来新型インフルエンザH5N1」に対する予行演習であったような気がするのは私だけだろうか。
H5N1新型インフルエンザは、現在特にエジプトで散発的な発生を見る。インドネシアなどでも患者が出ているが、なぜかエジプトに局在している。ハト料理で有名なエジプトでのことなので、鳥(ハト)と直接接触する機会が多いことも、患者発生が多い理由ではないかと漠然と考えているが、本当の原因は定かではない。
原因がわからないことでは、豚インフルエンザ流行が続いていた北半球の冬の季節(昨年11月から今年3月)に、季節性インフルエンザの流行がほとんど見られなかった。毎年流行を繰り返していたA香港型インフルエンザ(H3N2)の患者発生が極端に少なかったことは専門家の間での大きな疑問になっており、今でもその理由は解明されていない。日本では季節性インフルエンザによって毎年1万人が亡くなると言われているが、これがほとんどなかったことになる。新型インフルエンザを恐れて、政府はもちろん個人までもが対策に躍起になっていたが、その死者は日本では約200人にしか過ぎなかった。昨シーズンにおけるインフルエンザによる死亡者数は激減していることは間違いなく、この点だけを見れば、豚由来の新型インフルエンザは人類に恩恵となっているという見方もできないわけではない。歴史的な新型インフルエンザ流行でも同様の現象がおきていたらしい。たいへん興味深い現象であるが、だからと言って近い将来に起きるであろう次の新型インフルエンザ(H5N1)でも同じことが起きるとは限らない。今回の新型インフルエンザに際しては、結果的に季節性インフルエンザによる死亡者数が激減したというだけであってこのことを理由に新型インフルエンザに対する警戒を緩めても良いとの議論には、もちろんならない。
豚由来の新型インフルエンザの危機はほぼ去ったといえる。しかしこれを教訓にして、「次」に備える道筋をしっかりつくって欲しいものである。個人レベルでは日常の健康管理、衛生管理を怠ってはいけない。