新型インフルエンザ終息

昨年3月、メキシコで初めて確認されたH1N1新型インフルエンザは、その後世界中に感染を広げた。同6月11日にはWHOは大流行を意味する「パンデミック」を宣言した。昨年5月ころは日本でも感染が拡大し、誰もがマスクをするなど、少々パニック的な動きも認められたものだ。マスクが売り切れてしまったのはこの時期だが、このような現象が起きたのは日本だけ。現在までに、新型インフルエンザによる死者の数は214カ国で18000人を数えるに至っている。

この半年程度は流行も落ち着き、散発的な発生はあるものの流行拡大には至っていない。南半球の真冬にあたる現在も患者発生はかなり限局的になっており、今月10日、WHOのマーガレット・チャン事務局長は、流行の終息期を意味するポスト・パンデミックを宣言した。大流行期は確実に去ったといえよう。しかしH1N1新型インフルエンザウイルスが消えてしまったわけではなく、今後も季節性インフルエンザとして流行を繰り返すことになると思われる。

ここで忘れてはいけないのがH5N1型インフルエンザウイルスの存在だ。現在エジプトなど一部地域で散発的に感染者があらわれており、死亡率も高い。ある研究によって、H1N1新型インフルエンザウイルスと毒性が強いものの感染力が今のところ弱いH5N1ウイルスが交雑しやすいことが確認されている。新しく生まれてくる可能性があるインフルエンザウイルスは、強い毒性と感染力を併せ持つ危険なものになる可能性が高いというので警戒が必要だ。

H1N1新型インフルエンザは、大騒ぎした割には症状が軽いインフルエンザであり、しかも従来の季節性インフルエンザの流行を抑え込んでしまった「利点」もあったようだが、次に来る新型インフルエンザは決して侮ることはできないものになる可能性が大きい。この1年2カ月のパンデミックを是非教訓にして、次なる新型インフルエンザの流行に備えてほしいものである。