インフルエンザ情報 寄せられた質問より

質問
「子供がH1N1型インフルエンザと診断され、主治医から家族も一緒にタミフルを服用するように指示された。現在のところこの子供以外に症状がないにもかかわらずタミフルを服用しても良いのだろうか。また、解熱剤も処方されたが、タミフルと一緒に服用しても良いものなのか?」

皆さんであれば、どうされますか?
医師の勧めであり、何も考えないで指示に従うという人も少なくないことでしょう。ご質問された方は、医師の指示に疑問を持ち、私の考え方を聞きたいと質問されたわけですが、私もこのような医師の指示には大きな疑問や懸念を感じないわけにはいきません。医師でもない私が、医師の指示を否定してしまうことは良くありませんが、ひとつの考え方として受け止めていただき、ご自身の判断材料にしていただければ幸いです。

感染者である子供にタミフルを処方することは当然のこと。この処置にはもちろん疑問はありませんが、症状もなく感染が確認されていない家族にまでタミフルを、予防的に服用させてしまうことには納得できません。皆様もご存知かもしれませんが、世界中でタミフル耐性のインフルエンザウイルスが見つかっています。現在のところタミフルは数少ないインフルエンザ治療薬です。A型インフルエンザで毎年50万人が死亡していると言われている我々人類にとって、ウイルスと闘う有力な武器です。タミフルは日本でも香港でも、その使用量は世界的にみて非常に多く、今後耐性ウイルスが多くなる危険性が指摘されています。タミフルに限らず抗生物質は、感染症治療の切り札であり、やたらと使うものではありません。診断されている患者に服用を限定し、予防内服薬としての使用はするべきではないというのが私の考え方です。ごく当然のことだと思うのですが、実際には大量処方されている実態が、ご質問いただいた方のお話からうかがい知る
ことができました。

さて、同時に処方された解熱剤についてです。必要があればタミフルと一緒に服用してもかまいませんが、そもそも発熱はなぜ起きるのかということを理解しておく必要があります。発熱は頭痛や食欲不振なども伴い、確かに不快な症状ではありますが、体内の免疫力を上昇させるとともに、病原菌の活動を高温で抑える働きをするため、感染症の治癒に大きく貢献することになります。そこに解熱剤を服用すると、せっかくの免疫力が低下し、病原菌も活動しやすい体温にしてしまうことで、結果的に病期を長引かせることになります。

解熱剤は必ず飲まなければいけないものではありませんしまして発熱しないよう予防的に服用するものでもありません。必要があるから体温をあげるのが一般的な発熱です。体表面から(外から)冷やしてください。首筋や腋、股の部分など大きな血管が体表近くを走行している場所を重点的に冷やします。患者が寒く感じるときはまだ発熱させないといけない時期になりますので、この場合は全身を温めてください。要は患者自身を気持ちよい状態にさせてあげることが大切なのです。昔のように、汗をかいて暑くて仕方がないのに、風邪をひいているからといって布団をたくさんかけてしまうことは誤りです。発熱に際して、絶対に忘れてはいけないことは水分補給です。特に小さな子供の場合は、脱水症状を起こさないように十分注意しなければいけません。幼児は水もうけつけなくなることがありますが、薄めたジュースでも構いません。小さな「スプーンなどで少しずつでも頻繁に飲ませることが必要です。

今季のインフルエンザは、風邪症状から急激に悪化してしまうケースが複数報告されています。家族など身近に患者が現れた場合は、体調管理に気を使うことはもちろんですが、少しでも症状が現れたら(罹ったかなと思ったら)、迷わず医師の判断を仰ぐことが大切です。

香港ではインフルエンザの流行が今も拡大しています。今年に入って昨日までに11人が死亡し、現在のところ29人が集中治療室にて治療中です。感染には十分注意してください。