熱中症対策
毎年この季節になると、熱中症患者が多発します。日本では、節電モードと6月としては記録的な猛暑となったことが重なって、先月、熱中症による搬送者数は昨年に比べて約3倍の6877人にのぼり、そのうち15人が搬送後に死亡しています。
暑さと多湿が加わると、運動していなくても熱中症の危険性が非常に高くなります。日本の昔の家屋は夏を旨として建てたと言います。気密性が低く風通し良く設計されていたため、エアコンがなくても夏は過ごしやすかったようです。現在の住宅はエアコンを効率的に使ってこそ快適に過ごせるようになっているため、暑い季節に我慢してエアコンを使わないでいると、屋内で熱中症を発症してしまう危険性が高くなってしまします。
熱中症は、熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病に分類されますが、その原因の多くは体内の水分の消失(同時に塩分の消失)です。
熱失神
脱水に末梢血管の拡張が重なり、体内循環水分量が少なくなって突然意識を失って発症します。患者の体温は上昇しませんが、脈は少なくなります。私自身もハイキング中に、かがんだ姿勢で花の写真を撮って、立ち上がった際にフラッとすることがあります。血管拡張によって血圧が低下している証拠であり水分補給が常に必要であることを実感します。
熱痙攣
暑いからといって水分ばかり摂っていると、体内の電解質(特にナトリウム)が失われるために、筋肉の突然の痙攣がおきます。足がつったりする理由です。軽いものであれば少し休めばすぐに治りますが、無理は禁物なので、状況によっては塩分の摂取を直ちに行う必要があります。
熱疲労
大量の発汗に水分補給が追いつかないときにおきます。皮膚表面は冷たく感じます。しかし体内には熱がこもっており、直腸温は40度近くにまで上昇します。水分と塩分の補給が必要ですが、とにかく患者の冷却が必要です。
熱射病(日射病)
体温調節中枢が機能不全となり、40度以上にまで体温が上昇しますが、発汗はなく皮膚感想を認めます。危険な状態であり、速やかに冷却する必要があります。
これら熱中症の原因は、高温化での脱水と塩分消失です。これからの季節、屋外での娯楽が増えるかと思いますが、。熱中症対策が常に必要であることは言うまでもありません。
一昨年の東京マラソンでは「水中毒」が問題になりました。主催者は熱中症を予防するために水分補給を呼びかけていたものの、その意に反して患者が続発してしまいました。塩分摂取が足りなかったことからくる電解質異常がおきていたのです。主催者の呼びかけにこたえて、参加者は一生懸命水分補給を心がけていたのですが、水だけではなく塩分の積極的な摂取も必要だったわけです。
スポーツドリンクは塩分を適度に含むので手軽で良いのですが、糖分も意外に多くのどの渇きが強くなる傾向にあるようです。倍に薄めて、塩分を少し補充するようにすると良いのではないでしょうか。特に長時間歩くハイキングに際しては、水分に加えて塩分の摂取を特に心がける必要があります。夏のハイキングでは2リットルくらい水を飲むことは少なくありませんが、それだけ発汗しているということです。この際失われる塩分は、およそ18グラムにもなる計算ですから、それだけの塩分を補給しなければ身体の正常な機能が失われる危険性があるわけです。通常の食事で摂取している塩分は一日10数g程度。大量に発汗するときはこれでは間に合いません。日頃から減塩を心がけている人にとっては、発汗時の塩分補給には特に注意が必要です。
梅干しの効用
梅干し1個に含まれる塩分は1~2g。そのほかクエン酸を大量に含んでいるので、熱い季節の運動時には電解質異常の予防と疲労回復におおいに効果が期待できます。塩分摂取を控えるように指導されている方でも、汗をかく夏場は塩分を多めに摂っても大丈夫です。夏のスポーツには、特に塩分摂取が必要です。梅干し持参はどうでしょうか?