人間ドックの健常者、わずか8.4%

人間ドック受診者における健常者とされる割合が過去最低の8.4%にまで下がったことがニュースになっています。メタボリック健診の導入が影響しているといいますが、あまりにも低い数字です。

何をもって健常者というのでしょうか? 検査した項目がすべて基準値に収まっている場合が健常者ということになるようですが、そもそも基準値とは何かです。これは健常者と思われる人のおよそ95%程度の人が入る値のことであり、身体的にどこも悪くない人でも、統計上は5%くらいの人はこの範囲を外れてしまうのです。

身体的に問題がなくても5%の確率で基準値を外れるということは、受診項目が多くなれば誰もが何らかの項目で基準値を外れてしまう可能性が大きくなることは明らかです。基準値を外れてしまった項目が一つでもあれば健常者ではないとされるわけですが、これはあまりにも乱暴な仕切り方です。総コレステロールなど、基準値と最適値とが一致しない項目があるのが常識になりつつあるのに、いつまでもおかしなことを言っています。

メタボリック症候群診断の絶対条件である腹囲の基準(男性85cm、女性90cm)を上回っただけで、内臓脂肪が多いと判断され、さらに血圧、コレステロール、血糖、そして中性脂肪といった項目の基準値の「異常」が重複した場合にメタボリック症候群と診断されます。コレステロールや血糖に関しては従来より判断が厳しくなっているので、それだけ該当する確率が高くなります。メタボリック健診では、メタボリックと診断された人への「改善義務」もあり、ご丁寧にも改善できなかった場合のペナルティー(罰則規定)まで設けられているのです。一方で、腹囲が基準を超えていなければ、血圧、脂質(コレステロール、中性脂肪)、血糖などすべてが悪くてもメタボリック症候群と診断されることはなく、指導の対象にもなりません。

いったい誰のための健康診断でしょうか。受診した人に最も大きな利益が還元されなければいけないはずなのに病気の人を発見し、治療機会をつくる医療者側の経済理論が優先されているような気もしてしまいます。特に「メタボリック健診」には後期高齢者医療への拠出金の問題が絡んでいるだけに、たちが悪いです。

それにしても特にコレステロールに関しては、脅しともとれるほどに徹底的に悪者扱いされ、その認識が一般の人にしっかり刷り込まれてしまっているようです。専門学会が高コレステロールに対する治療ターゲットの引き上げを提言しても、一蹴してしまう医療の現場は一体どこを見て医療を行っているのでしょうか。

健康診断は健常者と非健常者を選別する作業をしているわけでは決してありません。受診した人にとって、現在はもちろん将来に向けて、健康状態をより良くするにはどうすれば良いかを提言する機会であるべきです。その中で病気が見つかることもあるでしょうが、それはプラスアルファのことともいえます。

健診を受ける側も、医療機関の側も、健診の本当の意味をもっと理解したいものです。この点、海外在住者あるいはその経験者の意識レベルは非常に高いものだと実感しています。

今回はまとまりのない文章になってしまいました。ニュースを見てつい一言、言いたくなってしまいましたが一言ではないですね。長くなり失礼いたしました。