リステリア食中毒

食中毒というと肉や魚介類が原因になっているものというイメージがありますが、なんとメロンが原因食品となった集団食中毒事件が米国で起きています。

報道によりますと、米国コロラド州を中心にリステリア菌による食中毒事例が多発し、発症した84人のうち15人が死亡しています。原因食品として挙げられたのが同じ農場から収穫されたメロンです。

リステリア菌はあまり馴染みがありませんし、日本ではこれが原因となる食中毒の発生も多くないと考えられていましたが、これは一般の食中毒に伴う下痢、嘔吐といった急性胃腸炎症状に乏しく、38~39度の発熱や頭痛などインフルエンザ様の症状を初期に認めるためです。重症化すると髄膜炎、敗血症を起こしますが、一般の医師にはなじみが薄く、軽症では診断がつきにくいようです。

もともとリステリア症と呼ばれた病気は、家畜などから直接感染するものと考えられていましたが(人畜共通感染症)1981年にカナダでキャベツのサラダ(コールスロー)が原因で集団発生したことで、食品が介在する食中毒であると認識されました。その後欧米では多数の症例が報告されており米国では毎年約2500人が重症のリステリア症になり、そのうち約500人程度が死亡していると推定されています。

リステリア菌は哺乳類、鳥類などに感染(保菌)するほか土壌や水(河川、海)など自然界に広く分布しており感染機会は少なくないと思われます。ただし健康人では発症しにくく、また発症しても風邪と区別できなかったりするため、統計上の数字はそれほど大きくはありません。発症までの時間も、短ければ数時間から長いと数週間と幅が広すぎることも診断の妨げになります。

原因食品として最もよくあげられるのはナチュラルチーズ、スモークサーモン、サラダといったものであり、欧米での感染症例が多い理由ですが、実際には日本でも少なくはないようです。

感染予防はほかの食中毒予防と変わりありません。熱に弱いので確実に加熱すること、生で食べる野菜類はよく洗うことが大切です。生肉類などを切ったまな板や包丁などはきちんと洗浄して次の調理に使ってください。また氷点下の環境でも増殖できることが本菌の特徴であり、冷蔵庫の過信はよくありません。