牛レバーとO157

長年にわたって食品衛生の専門家からその危険性が指摘されてきた、いわゆる「牛レバ刺し」に対して、厚生労働省がとうとう重い腰を上げて本格的な規制に乗り出そうとしています。

1996年、大阪の堺市で起きた腸管出血性大腸菌(O157)による集団食中毒を記憶されている方も多いと思いますが当時から牛レバーに対する危険性も認識はされていました。直接食品衛生指導をする現場の指導員は飲食店に対してその危険性を機会あるごとに伝えていたようですが、国としての法規制がなかったため、その指導に従う飲食店は皆無でした。

ちなみにO157による食中毒は、日本国内で2010年までの10年間で2599人が発症し、そのうち10人が死亡しています。

肝臓は腸に近いため、食肉加工の際にその表面をO157で「たまたま」汚染してしまうのが原因だと思われていたのですが、最近の厚労省の調査で、肝臓内部にもO157がいることが初めて確認されたため、規制に動くこととなりました。消化管から胆のう、そして胆管をさかのぼり肝臓に達するようです。

動物の内臓を生で食べるようになったのは、いったいいつからでしょうか。先に問題となったユッケは80年代のグルメブームに乗って全国に広がった料理でしたが、もともと日本の食文化になかったものを、その危険性を理解することなく受け入れてしまったことに問題があります。見よう見まねで調理された魚介類の刺身を、海外で食べるのは危険だということと同じです。日本の食文化のイロハを理解した板前さんが調理している信頼できる飲食店でないとリスクがあるのは当然です。これは日本国内でも同じことがいえます。ちなみにユッケを良く食べる韓国ではO157による中毒事件はほとんど起きていないそうです。

O157ほど毒性が強くはありあませんが、食中毒の原因別でいま最も注目されているのが「カンピロバクター」です。動物の消化管には頻繁に感染している細菌で、実は牛のレバーにも感染していることは早くから判っていました。カンピロバクターにもっとも注意しなければいけないのは鳥。鳥レバー、鳥刺しが危険であることはもちろんですが、鳥肉の不完全加熱で意外に多くの食中毒が発生しているものと思われます。
香港では、週末夜の屋外バーベキューを楽しむ人が多くいますが、暗がりで鳥肉を串に刺して焼いている姿を見るたびに、危なっかしさを感じてしまいます。ただでさえも焼き加減が判り難い鳥肉を暗いところで焼いているわけですから、生焼けを食べていてもわかりません。表面化しないだけで香港ではかなりの件数の食中毒が起きているはずです。日本で売られている鳥肉でも、カンピロバクターの感染率は極めて高いので、刺身で食べることは極力避けた方が無難です。

クリスマスから新年にかけて飲食の機会が増えることと思いますが食中毒予防のため、生ものには十分注意してください。