マラソンは危険なスポーツ
先週末に開催された香港マラソンでは、20歳代の男性がひとり死亡し、多くのランナーが救急搬送されました。約7万人もの参加者がいたわけですから、このくらいの事故は起きるだろうと、他人事のように考えて走るのは危険です。マラソンやジョギングでの死亡事故は、スポーツの中では最も多いといわれている割には、その危険性についての認識は多くのランナーにはないようです。
走ることは、心臓に対する負担がきわめて大きいことが、危険であるとされる主な理由ですが、私自身は違った視点からその危険性を個人的に理解しています。動物としてのヒトを考えてみましょう。ヒトのDNAは他の哺乳動物と大差はなく、生物としての基本的な特徴をすべて共通して持っている・・・。これが考え方の基本です。野生動物が走るときは、「危険を回避する時と獲物を追う時」くらい。つまりマラソンのように長距離を何時間も、「無理を強いた状態」で走り続ける動物はヒト以外にないのです。自身に負担をかけ過ぎることは、生命維持に影響するものとして本能的に避けているともいえましょう。
本来の動物に、生きるために備わっている走ったり、飛んだりするという運動能力を、高度に発達して自分自身の基本的な能力で危険回避などすることが無くなったヒトは、スポーツとして楽しむようになったといえます。自分の能力を試したい、他の人に勝ちたいという競争心を前面に出したのが競技スポーツです。
ところでジョギングは、誰もが、ひとりで、どこにいてもできる手軽な有酸素運動であり、これ自体はとても優れた運動であることは間違いありません。ただし一歩間違えるととたんに危険なスポーツにもなるという二面性を持ち合わせることも事実です。ジョギングとマラソンの違いは、会話を続けながら走ることができるかどうかです。走ることを健康の維持増進に役立てるのであれば、会話を楽しみ、笑顔をつくれるくらいの運動負荷にしなければいけません。苦しさに顔をゆがめて、それでも無理して走るのはとても危険な行為です。
繰り返しますが、マラソンという競技は、心臓への負担が極めて大きなスポーツであり、危険性が高い運動の筆頭です。自分の体力を見極め、決して無理しないことがとても大切です。
ちなみに健康のための運動として最も優れているのはウォーキング。野生動物は歩かなければ餌にありつけません。足を傷めて歩けなくなった動物には死が待っています。ヒトが失いつつある歩くという基本動作を、現代では積極的に補う必要があります。歩き方によっては、かなりのエネルギー消費になりますから、ダイエットにも最適でしょう。
春から初夏にかけてウォーキングには最適の季節です。週末、ちょっと歩いてみてはいかがでしょうか。