食中毒のお話

この夏、集団食中毒事件が日本で目立ちます。
最近のニュースを拾い読みしても、数百人規模の集団食中毒事例、学校での発生、中には驚くことに災害時の救援食料で集団食中毒が発生しているなど、このところ食中毒が目立って多くなっているのではないかと感じていたことが裏付けられるようなニュースが少なくありません。最も新しいものでは、浅漬けを原因食品とするによる集団食中毒でしょう。
浅漬けの業者は小さな企業ですから、これほどまでに大きな食中毒事件を起こしてしまったらアウト。おそらく廃業せざるを得ないでしょう。一般の飲食店はもっと厳しく、たった一人の食中毒発生が命取りになりかねません。衛生管理を徹底しない飲食店は一瞬にして事業が吹っ飛んでしまうリスクをはらんでいるのです。
日本のある保健所では管内の飲食店に対して生かきを提供しないよう指導していますが、これはカキは生で食べることができるものの、リスクが大きいからです。万が一の時は廃業になりますよっていう親心でもあるのですが、それでも出してしまうのです。カキによるノロウイルス中毒は、飲食店の衛生管理とは一切関係がないところが怖いところです。最近、日本産のカキは無菌処理されるようになってきたので完全とは言えませんが、以前に比べると相当安全にはなっています。外国産は、その産地と人が多く住む地域とがどの程度離れているかで安全性に差が出ます。ノロウイルスはヒトの便から排泄され、浄化施設ではウイルス排除できないからです。そうはいうもののカキの産地に関して、そこまで詳しい情報はわかりませんから、やはり生カキを食べる時はそれなりの覚悟は必要です。体調が悪い時には食べてはいけません。

同様に飲食店の衛生管理ではどうすることもできない食品にレバーがあげられます。今年7月より、日本では生レバーを飲食店で出すことが一切禁止されましたが、こちらで問題になるのは腸管出血性大腸菌O(オー)157です。感染発症すると死亡リスクがあることがノロウイルスと決定的に違うことです。全面禁止を前にしてカウントダウンだといっては大量消費されていました。たかが生レバーのことで大騒ぎしている日本の風景に唖然とし自分との距離を感じてしまいましたが、そのころやはりO157など腸管出血性大腸菌類による食中毒事例が日本で急増しています。
解禁された後も、焼いて食べることが前提で出されたレバーを生で食べた客が食中毒を起こしたということがニュースになりました。牛レバーは生で食べられるものと思い込んでいる消費者が少なくはないようです。

今年の日本の食中毒事例の多さは、この夏の暑さも原因かと思いますが、食中毒予防の基本を忘れていることと、食品に対する安全であるという思い込みも理由のひとつであることは間違いありません。

食中毒は飲食店で起きると、小さなのもでは地方のニュースに、集団発生だと全国版のニュースになって目立ちやすいのですが実は最も危険なのは一般家庭です。発生件数からすると、飲食店は非常に安全です。その意味から基本的な食中毒予防知識を誰もが身につける必要があります。
賞味期限に強くこだわる人も少なくありませんが、弁当など短時間に食べてしまわないといけない食品に付けられる「消費期限」とは違って賞味期限はその期限が切れて、たとえしばらく置かれてしまった食品でも、食中毒を起こすことはまずあり得ません。賞味期限を過ぎたからと言って、どれも捨ててしまうのはもったいないことです。

肝心なのは、食中毒菌を「付けない」「増やさない」そして「殺す」という三原則です。たとえば、刺身に鳥肉などの肉汁を付けないこと(鳥はかなりの確率で食中毒菌であるカンピロバクターを持っています)、低温を維持して、たとえ食中毒菌が付着しても増殖させないこと、さらに摂食前に完全に加熱して殺菌することが大切です。食中毒菌が出すある種の毒素は熱に強いので、最後の砦である加熱が意味をなさない場合もあるので、やはりトータルの意味での食品管理(食中毒予防)が大切になります。
生で食べる食品に特に注意が必要であることは言うまでもありません。

盛夏は過ぎましたが、食中毒は一年を通して起きています。
特に家庭ではその予防を常に十分心がけてください。