N7N9型鳥インフルエンザ
中国、特に沿海部でH7N9型鳥インフルエンザが再流行(再燃)している。昨年春に流行したが夏季には終息していたものである。ところが昨年10月頃から患者が散発するようになり、年が明けてからは感染者数が急増ししている。これまでのところ中国本土、香港、台湾で認められた感染者は216人、そのうち57人が死亡している。
インフルエンザウイルスは一般に夏には活動が弱くなるものの冬の低温と乾燥を好むため、この時期に再度流行することは想定されていたことではある。現在の流行は特段驚くことではないもののウイルスの性質が徐々に変化していることも確認されているため、今後の感染の広がりには十分な警戒が必要となる。
今のところヒトからヒトに感染している事実は確認されていないので、春節に伴ってヒトが大移動することが直接的な感染拡大につながるととを警戒する必要はない。しかし人の移動が盛んなときには物資も動くわけであり、当然のことながら原因となる感染した「鳥」も運ばれる数が増えることになると考えられる。そのことから春節に注意が必要といえるが、これとは別に野鳥の介在も感染拡大に重要なポイントとなる。
このところの感染拡大でH7N9型鳥インフルエンザが話題になっているが、すでにH5N1型インフルエンザがアジアから北アフリカ、さらにヨーロッパにも感染拡大しており、ヒトからヒトへの感染が強く懸念されていることは一般では忘れられているようだ。
さて、これらの鳥インフルエンザは本来その名の通り鳥の世界での病気であり、ヒトとはほとんど縁がないものだ。HとNというウイルスの性質を決定するものに数字がついていることからその種類も多くアヒルなどの水禽類での感染率は高いものの、この場合の鳥に対する病原性はほとんどない。ただし「高病原性」と呼ばれる病原性が強いものに変異したものでは、養鶏場のニワトリを数日のうちに全滅させてしまう等、強い感染力と毒性を示すことになる。このウイルスは変異しやすく、豚の体内でヒトのインフルエンザウイルスと遺伝子融合してしまうことが非常に怖い。目下の懸念は、毎年冬季に爆発的な感染拡大を繰り返すH3N2型インフルエンザ(A香港型インフルエンザ)ウイルスとヒトへの病原性が強い鳥インフルエンザウイルスが融合すること。こうなると約100年前に大流行して人類に大きな被害をもたらしたスペイン風邪に匹敵する事態となるかもしれない。
新型インフルエンザに対しては世界規模で常に監視され、ワクチン開発も進んでおり、昔のように感染拡大に対してなす術がないという事態はあまり考えられない。抗インフルエンザ薬も現代人の有力な「武器」となっている。実際のワクチンは新型インフルエンザが生まれてきてから供給体制がとれるまで半年くらいかかるので、個人の健康・衛生管理も重要な課題となる。
免疫力を低下させないために睡眠をしっかりとって疲れを溜めないことや適度な運動習慣が大切だ。また手洗い習慣も重要なポイントになる。さらに患者発生が報告されているときは、できる限り鳥との接触を避けることも必要だ。