春節を前にして

 春節を目前にして、そろそろ休暇に入る人もある。帰国する人もあれば南国のリゾートで過ごす人も少なくはないだろう。
 日本ではこの春節の時期はちょうどインフルエンザ流行のピークシーズンと重なるため厳重な注意が必要になる。国立感染症研究所・感染症情報センターのインフルエンザ流行マップ(2014年第3週 1月22日発表)によると、関東以西では注意報レベルが警報レベルに引き上げられている府県が目立ち、西日本で患者数が多いことがわかる。旅行中はもちろんのこと、帰省中であったとしても、常に感染予防に努めたいものだ。手洗いの励行、十分な睡眠時間を確保して体力を温存しておきたい。旅行では決して無理な日程を組まないで、疲れを溜めないことが大切だ。”マスクが好きな日本人”であるが、マスクは他人に感染拡大させないための手段であり、自らの感染予防になると過信してはいけない。マスクをするのであれば昔ながらのガーゼマスクが良いのかもしれない。周囲への感染機会を減らせることと、自分の息でガーゼが保湿されるため、乾燥した空気を加湿して吸気できることで気管等の乾燥を防ぎ、インフルエンザウイルスに感染しにくくなる。

 さて、熱帯地方に出かける人は、デング熱に注意が必要だ。東南アジアではデング熱が流行しており、現在患者数が急増している。また同じく熱性疾患であるチクングニア熱が流行しているという情報もある。聞きなれない感染症チクングニア熱は蚊が媒介するウイルス性の感染症で、高熱に加えて著しい関節症状が特徴。関節の痛みは時として2年にも及ぶといわれる。さらにマラリアにも警戒が必要であることは言うまでもない。これらはすべて蚊に刺されることで感染する。従って予防法はマラリアの予防内服以外は蚊に刺されないことしかない。ほとんどの人は都市部やリゾートホテル内での滞在であり、問題は極めて小さいと思われるものの、観光ツアーなどでそこを離れると一気に危険性が増す。極力露出の少ない服装で、できれば虫刺され予防のスプレー等を使用したい。

 旅行から帰ってきてからも注意が必要だ。感染症は潜伏期間の後に発症するものである。旅行直後に発熱などあったら、医師にどこに旅行していたかを伝え、熱帯病の可能性はないか患者の側から積極的に確認した方が良い。熱帯地方の医師であれば熱性患者はまずマラリアなどを疑うが、日本はもちろん香港などでも最初に疑うのはインフルエンザだ。以前香港で、熱帯熱マラリアの診断ができずに死亡した日本人の例もある。(日本でも同じく死亡例はある)医師の誤診といってしまえばそれまでだが、患者の側からの情報提供も極めて重要であることを示す例でもある。

 そのほか食中毒や肝炎など、熱帯、亜熱帯地方では感染リスクが高くなる。日本ではノロウイルス感染が急増している。春節の旅行中は、普段よりも増して健康の管理に努めて、体調を壊して辛い思い出をつくらないようにして欲しいものだ。