デング熱 続報

先日、日本で約70年ぶりにデング熱の国内感染事例が報告されましたが、その後、さらに2例の感染が確認されています。3人は一緒に代々木公園内でダンスの練習をしていたということから、感染はこの時に蚊に刺されたことが原因であるとほぼ特定されています。
日本に棲息する蚊で、デング熱を媒介するのはヒトスジシマカのみ。やぶ蚊の一種です。もちろん蚊がデング熱ウイルスを持つには感染者からの吸血が必要です。日本では確認されているだけで年間2~300人が熱帯・亜熱地方で感染した後に帰国、日本国内で発症しています。実際に海外で感染している人はこれよりもかなり多いと思われますが、このような感染者を日本でヒトスジシマカがたまたま吸血してしまうとおよそ1週間ほどかけてその体内でウイルスが増殖します。再度吸血した時に他の人の体内に侵入して感染が成立します。
 蚊が人を刺した時には、まず唾液が注入されます。この唾液は血液を凝固させないためのものであり、吸血時には自分が注入した唾液を吸い戻すようにして、蚊の体内での血液凝固を防いでいるのです。この唾液を出すときに蚊の体内(唾液腺)に控えるウイルスが人体に侵入します。これはマラリアでも同じです。ちなみに蚊に刺されて痒くなるのは、蚊の唾液に対する反応です。
患者(人)→蚊→人という連鎖がなければデング熱の発生はありえません。
人から人には感染しないので、いくら患者がいてもそれ以上に患者が増えることはありえないのです。
今回の事例では、おそらく代々木公園にいた患者から吸血したヒトスジシマカがその体内でウイルスを増殖させ、たまたま居合わせた人に感染させたのでしょう。蚊が吸血するときはまず唾液を注入するので、近くにいた3人に次々と刺して感染させたことも十分考えられます。公園内にウイルスをもった蚊がたくさんいるということは考えなくても良いと思いますが、デング熱に限らずマラリアも含めて、熱帯病が日本国内で発生する危険性があることを示した一例だったと思われます。もちろん日本に限らず媒介蚊が生息できるであろう温暖な気候の土地であればどこでも有り得る話です。