メタボリック健診、効果検証できず

  2008年から始まった特定健診(メタボリック健診)の効果を調べる厚生労働省の事業で、構築したデータベースに不備があり、多くの健診データが検証作業に利用できないことが会計検査院の調査でわかったそうです。
 特定健診の大きな実施理由は、毎年膨れ上がり国の財政負担が増え続けている医療費の抑制にあります。厚生労働省は特定健診の実施に補助金を出しており、その総額は2014年度までに1257億にのぼっており、今回の会計検査院の調査によって、そのムダが指摘されたともいえるものとなっています。
 特定健診の結果は今年2月末までに1億2千万件が厚労省に保存されています。その一方で、国民が医療機関を利用した際のレセプト(診療報酬明細書)データは87億8900万件もが保存されています。健診の受診者をレセプトで追跡することによってその効果を検証するはずでしたが、データ入力に問題があって、健診データとレセプトが照合できたのはわずか22%にしかすぎず、メタボリック健診の効果を判断するには程遠い状況となっています。
 実はメタボリック健診の、隠された?目的は、後期高齢者医療費の国負担額の軽減です。後期高齢者の医療費は本人負担が軽減されている分、国と市町村、健康保険組合が分担しています。この内の国負担分を減らし、誰からも異論が出ない方法で市町村と健康保険組合の拠出を増やそうとして実施されているのがメタボリック健診です。国としては現段階では思惑が外れてしまったかたちですが、せっかくできた制度なので、検査を受ける側としては、そのデータを個人としてしっかりと活用したいものです。
 メタボリック健診は40歳以上が対象ですが、仕事をしている人であれば年に一度は健康診断を受けなければいけません。健康診断は国の政策のためでも、会社のためでもありません。自分自身のためです。もっと具体的に言えば、将来、「寝たきりにならないため」に自分自身の健康を確認し、さらに増進するための手がかりを得るための手段として活用するのです。医療が著しく進歩した現代は、たとえば脳梗塞で倒れても簡単には死なせてくれません。もちろん将来の健康不安は循環器の病気だけではなく、がんもとても大きいものですが、自分自身の努力でリスクをいくらでも低減できるのであれば、実行しておいたほうが絶対に良いはずです。寝たきりになって、下の世話までしてもらわねければいけなくなってしまったら、自分自身もつらいものですし、介護する方にも極めて大きな負担となってしまいます。
 メタボリック健診はもちろん、定期健康診断の結果は最大限に活用してほしいものです。