ノロウイルス食中毒

香港衛生署によると、2月23日に銅鑼湾のホテルのレストランで食事した女性6名(47歳~65歳)が、食後34時間~44時間後に食中毒症状を訴えた。嘔吐や下痢、腹痛を共通した症状としており、そのうちの一人の便からノロウイルスが検出されたという。

原因として疑われた食品は、当該レストランで提供されていたアメリカ、ペンコーブ(Penn Cove)産の生牡蠣。同じ牡蠣は香港の他のレストランでも提供されているが、衛生署の調査では今のところその他の患者は発生していないようである。

ノロウイルスはウイルス性食中毒では最も頻繁に認められるものであり、原因食品としては、生牡蠣がもっとも多いことは有名である。これは、貝類が水中のプランクトンを捕食する際に、水中のウイルスも同時に取り込み、その体内(内蔵-中腸腺)に貯めこむからだ。これはA型肝炎ウイルスでも同じ。ただし、ウイルスは貝の体内で増殖することはできないので、食品の保存状態が悪いことがノロウイルスに感染するリスクを高めるわけではない。

日本人にも好まれる生牡蠣は、世界中から香港に集ってくるが、どこの産地であろうと大なり小なりノロウイルスによる食中毒のリスクは存在する。しかし日本産に限って言えば、生食用牡蠣として出荷するためには厳しい基準があり、しかも収穫後に無菌海水に一定日数置くことで、体内のウイルスを排泄させる作業が加わったのもが消費者に届けられるということで、安全性は格段に高くなっている。餌となるプランクトンもない無菌海水中におかれるので、その分味が落ちるのかもしれないが、安全性は格段に向上する。

ノロウイルスは食中毒を起こす原因ウイルスであるとともに、患者の排泄物からのウイルスを含むミストが乾燥して空気中に浮遊、これを吸い込むことで感染する。容易に感染することから、時として学校などで集団感染となる。然るに激しい嘔吐や下痢に際しては、その汚物の処理に際して慎重に、そして確実に行わなければいけない。家族全員が一気に感染して、トイレを奪い合ったという話も決して冗談ではないからだ。

暖かくなると食中毒のリスクが高くなりそうだが、ノロウイルスは季節とは全く関係のない食中毒であり、食品がどんなに新鮮であっても、その安全性を保証する根拠にならないから厄介だ。