妊婦はマグロを食べるのを控えようー厚生労働省

 かねてWHO(世界保健機関)はマグロに含まれる水銀を問題にしてその摂取に関して注意を促してきたが、最近その基準が厳しくなったことを受け、日本の厚生労働省では、特に妊婦の摂取量を制限するよう注意を促している。

 たとえば一人分のマグロの刺身を80gとした場合、一週間に1度くらいに食べる回数を制限した方が良いというのだ。ただしマグロは優れた食品であり、その摂取自体を控えることはないとしている。また缶詰についても特に制限を設けないという。非常に矛盾した表現であるが、これはマグロが日本では非常に大きな産業になっており、大幅に摂取制限をすることで業界への影響が大きすぎるためだと思われる。国際的には缶詰も制限の対象とされるというのに、非常に甘い対応ではないか。

 以前にもWHOでマグロが問題になったことがあるが、そのときは日本国内向けには「キンメダイ」が危険であるとされた。キンメダイなら業界への影響は軽微だとでも考えたのか。極めて政治的な扱い方だが、国民の健康を真剣に考えていない日本の厚生労働省の姿勢が如実に現れたものだと、当時私自身怒りを感じたものだ。

 マグロに限らず寿命が長い魚は体内の水銀濃度がどうしても高まる。大型の魚はマグロに限らず食べるのを控えて、アジやサバなど近海物の比較的小さな魚を好んで食べた方が良いことは確かだ。

 重金属汚染といえば魚介類に限らない。実は日本の米は世界的にみてもカドミウムの含有量が多い。国際会議で米に含まれるのカドミウム濃度の国際的基準値を決めようとしても、日本の代表はできる限りその値を高くしようとがんばっているようであるが、中国やタイといった米の主要輸出国は反対にかなり厳しい基準を要求している。なお日本産の米にカドミウムが多く含まれているのは地質学的な条件によるものであって、土壌汚染がその原因ではない。

 それにしても食の安全に関して情報が完全に公開されていないのは問題だ。もちろん多少重金属が含まれていようが特に問題とならない場合もある。食品添加物に関しても同じだ。危険だと決め付けることもないが、あらゆる情報を公開して広く判断材料を消費者に示すことが大切なはずであって、混乱を招くなどと理由を付けては情報を制限してしまうのは的確だとは思えない。