中国産淡水魚類より発癌物質
日本の厚生労働省は、中国産のウナギ製品から魚病予防治療薬のマラカイトグリーン(抗菌剤)が検出されたとして、輸入ウナギ製品に関して輸入時にすべて検査する通達を8月5日に輸入業者向けに出している。検査でマラカイトグリーンが検出されると全品処分の対象となるため、現在中国広東省からのウナギの日本向けの出荷が一時中止されている。
マラカイトグリーンは発癌性が認められるうえ非常に毒性が強いことから、食品への使用を厳しく制限されており、食用魚からの検出は一切認められていない。ただし観賞魚用の治療薬としては一般に使用が認められており、熱帯魚を飼っている人には比較的馴染みが深い薬だ。
食用とされる魚にマラカイトグリーンが検出されてはならないとされているが、日本でもサケの養殖において、その卵の消毒に使用されている。代替品が見つかるまでの暫定的な使用許可であるが、最初の許可から20年近くたった現在においてもそれに代わる抗菌剤はない。
日本で問題になってから広東省で養殖されている他の淡水魚についてもマラカイトグリーン残留が確認され、香港でも大きな問題としてクローズアップされている。しかし養殖魚が薬漬けであることは今に始まったことではない。日本でもフグの養殖にホルマリンが使用されていたとして問題になったことは記憶に新しいはずだ。魚ばかり食べているわけではないと思うので、今回問題になったからといって、すぐに食べるのを控えることはないだろう。
それにしても日本の厚生労働省が、輸入ウナギの禁止薬物検出に関して業界に対して通達を出したのは土用の丑の日(7月28日)の直後。もっと前から事実関係は把握できていたはずなのに、故意に発表を遅らせたのではないかと疑いたくなるタイミングだ。医薬品などもそうであるが、行政はどこに顔を向けて仕事をしているのか、誰のため、何のために行っている仕事であるかを自覚して欲しいものだ。
牛も豚も鶏も、そして魚もだめ、野菜は農薬が心配で、結局何も食べることができないという不安な声も聞こえてくる。気持ちは良くわかるが、不安ばかり先行してしまっては精神衛生上良くない。それこそ不安から免疫力まで落ちてしまっては困る。できる範囲での自己防衛は必要であるが、この時代を生きている以上やむを得ないことであるとの割り切りも必要だ。こんなに環境が悪いと思われる香港の人々の平均寿命が世界トップクラスであることも頭の隅においておくのも良いだろう。そして、最後に、これが一番大切なことだが、行政には市民に対してできる限りの情報を迅速に公開することを望みたい。