糖尿病患者、遺伝子に特徴あり
国立国際医療センター、理化学研究所のそれぞれの研究チームが糖尿病患者1万人のゲノムを解析した結果、糖尿病患者の「KCNQ1」という遺伝子には、そうではない人の遺伝子には見られないわずかな違いがあることを見つけた。
KCNQ1遺伝子は血糖値を下げるインスリンの分泌にかかわっていると考えられており、この遺伝子が異なるとインスリンの分泌が不足するため糖尿病になりやすいと考えられるという。(発症リスクは1.4倍)
今回KCNQ1の異変によって発症リスクが高まるとされたのは生活習慣と関連が深い「2型糖尿病」だ。早い話、太ることが引き金となって発症するタイプの糖尿病のことで、この発症メカニズムに関しては古くから通説とされてきたが、遺伝子レベルで説明付けられたのは初めてだ。
なお、この成果は国立国際医療センターと理化学研究所が別々に研究していたものであるが、同時に同じ結果を見出して発表することになったのは極めて異例だ。
この結果を受け、今後、糖尿病になりやすいタイプの人を調べる「リスク診断」につながることになるだろうが、糖尿病発症の原因はこれだけではない。実際に知られている糖尿病のタイプには、インスリンの分泌にはまったく異常がないものもあり、この場合には今回の研究結果の応用はきかない。これは血糖(グルコース)を取り込む細胞側のレセプターに問題があるとされるタイプだ。つまりインスリンが持つカギと細胞側のドアのカギ穴が合わなくなってしまうため、細胞のドアを開けられなくなってインスリンを細胞内に放り込むことができなくなってしまって発症する糖尿病だ。
私は健康診断の受診者で血糖値が高い人に両親の糖尿病の有無についてできる限り聞いているが、やはり両親のどちらかでも糖尿病の場合は、その子供の糖尿病発症の危険性は高いと感じる。
両親、あるいは祖父母まで含めて糖尿病患者が一人でもいる場合は十分注意する必要があり、該当する場合は絶対に太れないと思っていたほうが良い。太ってきたと感じたら血糖値が上がらないうちに直ちにダイエットすることをお勧めしたい。
血糖値が110mg/dl以上の人を糖尿病予備軍と呼ぶが糖尿病患者を含め40歳以上では4人に一人いるとされる。通常、血糖値が110mg/dlを上回ってきたら医師あるいは保健師指導の対象となる。
しかし、血糖値が110mg/dlに達していなくても、体重増加と共に血糖値が上昇し、3桁の血糖値になった場合、つまり100mg/dlを超えてきたのであれば、糖尿病のリスクが高いものと判断し、十分注意しておきたい。
糖尿病にかぎらず「太らないこと」は健康状態を保つうえでの大きなポイントになる。体重増加に比例して循環器疾患のリスクが高まることに疑いの余地はない。また肥満で高血糖や脂質異常などを指摘されている場合でも、体重減少と共に健康状態が改善していると単純に思っても構わない。
体重は健康状態をあらわす主要な物差しだ。