日本脳炎およびレジオネラ感染

 まずは日本脳炎。今年香港で2例目の発生が報告された。患者は新界(Tin Shui Wai)に住む37歳の女性で、発熱、めまい、視覚異常を訴えて7月20日よりTuen Mun Hospitalに入院しているが、昨日、日本脳炎であると診断された。

 この患者には潜伏期間と考えられる期間、香港から外には出ておらず、香港内で感染したことは間違いとのことで、今年初めてのドメスティックケース(香港外で感染したものでない患者)として報告された。(昨年は5件)

 日本脳炎は蚊に刺されることで感染するが、このウイルスは豚の体内で増殖する。つまり感染豚を刺した蚊がヒトを刺すことで感染の機会となる。今回患者が発生した地域には養豚場があり、その意味では感染リスクが高かったといえる。ただ以前の例で言えば、香港島の南(Ap Lei Chau)で患者が発生したことがあり、必ずしも養豚場が近くにあることが感染条件となるわけではない。

 日本脳炎に感染しても、発病するのは100~1000人に一人の割合で感染してしまう確率も考慮しなくてもよいほど低いことを考えると、日本脳炎に対して神経質になる必要はない。

 日本や韓国では予防接種によって日本脳炎はほぼ制圧された。しかし今年5月に日本の厚生労働省は、副作用問題から日本脳炎ワクチン接種の中止を勧告している。香港では一部の医師がワクチンを個人輸入していたが、香港政府としては日本脳炎ワクチンの必要性を認めていない。

 例外的な患者が発生したことで神経質になる必要はないが、デング熱のこともあるので、蚊には刺されないように注意することが必要だろう。
 さて、今年はレジオネラ感染の報告が相次いでいる。7件報告されている中で、香港内で感染したと思われるケースが2件、どこで感染したのか不明なケースが4件となっている。(1件は香港外で感染した輸入例)

 1976年の夏、米国フィラデルフィアのホテルで開催された在郷軍人会の参加者などに重症肺炎が集団発生。221名感染して29名が死亡している。米国疾病管理センター(CDC)はまったく新しい感染症であると認定して、「在郷軍人病」と呼ばれるようになった。この原因菌が後にレジオネラ ニューモフィラと命名されている。

 レジオネラ菌はもともと自然界(土中)に広く存在するものだ。乾燥して空気中に飛散し、冷房用の冷却塔水などに入り増殖。この汚染水が霧状になって飛散することが大きな感染原因になっているといわれる。香港の場合、ビルの空調用冷却塔水の飛散はかなり多いと思われるが、この冷却水飛散による感染リスクは避けるのは難しい。

 最近は水を替えない循環式温泉施設などで感染する事例が多く、日本でも時々問題になっている。これは、あくまでも私の推測だが香港のサウナの風呂も循環式であって、レジオネラ菌が増殖している可能性が考えられる。

 感染経路からすると、確かに感染を予防することが大変難しい病気ではあるが、レジオネラ菌は免疫力が落ちていない人にとっては決して怖いものではない。

 本日の新聞などで日本脳炎とレジオネラが大きく取り上げられているがどちらも新聞記事のように過大に神経質になることはない。

 栄養・運動・休息などに注意して自身の健康度を保っておくことが、あらゆる感染症対策に有効であることは間違いない。