上海蟹から基準の10倍を超える抗生物質
台湾で販売されていた大陸産の上海蟹から基準の10倍を超える抗生物質(クロラムフェニコール)が検出された。
クロラムフェニコールは製剤名をクロロマイセチンとも呼ばれサルモネラ菌、発疹チフス、ツツガムシ病などに用いられる抗生物質であるが、再生不良性貧血などをおこすなど比較的副作用が強く、血液の病気がある人や腎臓や肝臓が悪い人には使えないものだ。通常、患者治療にこの抗生物質が最初から使われることはない。
一般に養殖では高い密度で育てているので、ひとたび感染症が発生すると短期間のうちに全滅する危険性があり、その予防のために抗生物質が投入されることは珍しくない。
先日はマラカイトグリーンが問題になったばかりであるが、同様の問題はほかにもいくらでもある。魚介類に限らず養豚や養鶏などでも抗生物質の問題は昔から指摘されてきたことだ。食用動物に使用された抗生物質を知らず知らずに人が間接的に摂取してしまう。これが原因で人の病気治療に使われる抗生物質が効かなくなってきているともいわれるほどだ。
今回検出された量で、人の健康障害が生じるとは思えないが、決められた基準をまったく無視した薬物の乱用は非難されるべきだ。幸いにも香港で販売されている上海蟹では検出されていないというので、「一応」安心だが養殖ものには量の多少はあるにしても何らかの薬品が使われているものと思っていても良いだろう。
だから購入を避けようというのではない。抗生物質の使用は現代社会において、食料の効率的な生産にはどうしても必要なことであり、安全基準を守って使用する限り問題とすることはできない。もちろんこのような医薬品が使われていないものもあるが、多くのケースでは価格が非常に割高だ。
どのような基準で食品を選択するかは個人の自由であるが、少なくとも現実を理解したうえで決定することが理想だ。その意味で消費者に対して、生産者や行政サイドからあらゆる情報の開示が求められる。