魚の水銀汚染

香港の政府機関である「食物食物安全中心」は昨年4月から8月にかけて集めた魚類280サンプルに対して実施した有機水銀量調査の結果を公表した。

その結果多くの魚から有機水銀を検出したが、中でも深海産の魚3種類から認められたものは許容量を大幅に上回っていた。特に金目鯛からは基準の2倍を超える有機水銀が検出されており、その危険性から摂取を制限すべき筆頭にあげられている。

今回の調査に限らず、特に外洋性の肉食大型魚(マグロなど)の水銀汚染は、食物連鎖の関係で体内での有機水銀の蓄積が進んでいることから、その摂取に関して大幅に制限したほうが良いということは、米国FDAなどからこれまでも勧告されている。

水銀は環境汚染と強く関連するが、火山など自然界からの供給も少なくはない。地上や大気中の水銀はやがて海水に溶け込み、最初にプランクトンなど微生物に摂取される。このプランクトンを稚魚が捕食し、このような小さな魚をより大きな魚が餌とする。さらに大きな魚に食われていくという連鎖を通して水銀は濃縮されていく。

有機水銀は神経に対しての毒性が強く、特に胎児に対しての影響が大きいため、妊婦の魚の摂取に関しては注意が必要であることは確かだ。
しかし他方、魚は良質の蛋白源であるほか、EPAやDHAといったオメガ3不飽和脂肪酸を多く含み、積極的に摂取したい食品であることも間違いない。

魚の種類によって含まれる有機水銀量の幅はかなり大きく、摂取を控えるものと全く意識せずに食べても問題がないものまで様々だ。
一般に大型の肉食の魚(マグロ、サメなど)は体内の水銀濃度が高いと判断しても良い。それに対して近海の比較的小さな魚(イワシや秋刀魚など)は比較的汚染は少なく、摂取制限はほとんど必要ないレベルだと考えられる。

妊婦に関しては注意が必要であるが、魚を単に水銀汚染という観点のみで闇雲に摂取を控えるといった自己規制は無用ではないだろうか。コレステロールが高いといって一部の食品を極端に控えてしまうのと似ているが、ある食品を近視眼的に一方向からのみとらえて判断することはばかげている。

このところ食品に関しては話題が尽きないが、情報に流されることなく、冷静な判断力を持って対処したいものだ。