狂犬病、中国衛生省が注意呼びかけ
「中国衛生省は12日、今年の狂犬病患者が10月末時点で前年比2.4%増の2717人に達したと発表した。広西チワン族自治区と、貴州、四川、湖南、広東の4省を感染が深刻な地域としてあげ、注意を呼びかけた。」 朝日コム、時事 より
狂犬病に関しては昨年1月から8月にかけて中国広東省東莞市で20人が感染死亡したことが報道され、日系企業でも予防接種に関して盛んに情報交換などがされていた。
また昨年はフィリピンから日本に帰国した男性が、日本で36年ぶりに狂犬病を発症し(2006年11月16日診断)、さらにもう一件国内発症が続いたこともあって、ちょうど1年ほど前は海外駐在員の狂犬病予防対策に関して、日系企業はかなり神経質になっていた。
狂犬病は有効な治療法がなく発症すれば100%の致死率だ。確かに怖い病気ではある。それにもかかわらず根絶されたと思われる国は日本や欧米の一部の国だけであり、世界的には感染の危険性は少なくない。インドでは今も毎年30000人の死亡が報告
されるなど、特に発展途上国においては特段の注意が必要となる病気だ。
ちなみに日本での狂犬病発生は、1956年に6頭の犬が発症したのを最後にその後の国内での感染は確認されていない。また人が感染した例では、1970年にネパールで犬に噛まれて感染し、帰国後に発症死亡した青年が記録に残るだけで、昨年まで狂犬病は半ば忘れられていたに等しい感染症だった。
昨年の今頃は狂犬病の予防接種に関して非常に問い合わせが多かった。
予防接種を受けるようにとの指示が多くの企業の本社から出された影響かと思うが、実際に接種した人は少ないのではないか。
香港ではワクチンのストックが少ないこと、中国内では日常的に接種できるようではあるが、副作用が懸念されて、接種した人は極めて少なかったのではないかと思う。
「接種の指示はしない」という大手メーカーもある。
狂犬病の予防接種は比較的副作用が大きい。また確認はできていないが中国で生産されている狂犬病ワクチンは旧来の方式によるもので、日本や欧米で使用されているワクチンよりも副作用が大きいともいわれている。
その一方で、万が一感染犬に噛まれたとしても、発症するに至るまでの時間が長い(2週間から2ヶ月、あるいは数年?)ことも狂犬病の特徴だ。
噛まれて侵入したウイルスは、神経系に沿って移動する。1日1cmくらいの速度で脳神経に向かうので、脳からの距離が長いほど発症に至るまでの時間が稼げる計算になる。したがって噛まれてからの事後の予防接種で、発症を十分防ぐことができるわけだ。
リスクが高いと思われるワクチンを現地で予め接種するのではなく、犬に噛まれるなどして感染の危険性が憂慮されるときには、すぐに日本に帰国させたうえ、数回の予防接種を連続的に行なうことで対処することを、最近は企業として考えるようになったようだ。
狂犬病に感染している犬は強暴だ。海外では狂犬病予防接種を受けている犬は極めて少ない。基本的には犬には近づかないことが鉄則。野良はもちろん、飼い犬だからといっても安心はできない。
また、狂犬病といっても犬だけが危険動物というわけではなく、多くの哺乳動物が感染する。身近では猫も感染するし、コウモリの唾液で感染したと思われる事例も報告されている。
海外で動物に噛まれたときは、すぐに医師に相談して欲しい。場合によっては本社の産業医などと連絡をとり、帰国して予防接種を受けることも考慮されることだ。噛まれてからすぐに発症するわけではないが、2~3日問題がないからといって甘く見るのではなく、必ず適切な処置を受けておきたい。