C型肝炎について

かつて、血液製剤と呼ばれるヒトの血液からつくられる医薬品(血液製剤)がHIV感染の原因となり、危険性を認識しながらも使用を認め続けた国に対してその責任が追及された。(薬害エイズ訴訟)薬害エイズは大きな社会問題になったにも関わらず、現在はフィブリノーゲン製剤によるC型肝炎(HCV)感染が問題となっており、またもや国(厚労省)の無策振りが露呈したかたちとなっている。おそらく舛添さんが厚生労働大臣になっていなかったら、現在でも国は動いていなかったことは確実だ。感染の危険性を知らされていなかった患者の治療機会を奪っていたことに対する国の責任は極めて重い。

さて、C型肝炎は血液製剤のみが感染源ではなく、かつて当たり前のように行なわれていた医療行為が感染原因となっているケースも少なくはない。感染していても症状が無いことが多いので、小児はともかくとして誰もが一度は感染の有無を確認しておく必要がある。

医療現場で使用される注射針が完全に使い捨てになったのは1980年代になってからのこと。それまでは針も滅菌しながら使いまわしされていたほか、学童の予防接種では1本の注射針で何人にも回し打ちしていたなど、今では信じられないようなことが日常的に行なわれていた。このような医療行為もC型肝炎への感染源になっていたことにほぼ間違いがない。

C型肝炎は症状に乏しく、感染しても気がつかないままで長期間経過し、おかしいと思ったときには肝硬変や肝臓がんに移行してしまっていることもある。毎年受診していた健康診断では、軽い肝機能障害を指摘されていたものの飲酒を控えるようにとのコメントばかりだったという人が、体調不良で受診した医療機関で肝臓がんの診断を受けたという事例もある。この例では、20年以上にわたって健康診断を毎年受けていたにもかかわらず、C型肝炎検査について一度も指導を受けたこともなければ、そんな肝炎の存在すら知らなかったという。

さて、弊社の健康診断でも軽い肝機能異常はよく認められる所見だ。特に中年男性で太った人に多く、おそらく脂肪肝がその原因であると推測されるので実際に問題になるケースは少ないと思うが、中にC型肝炎キャリアーがいないとは限らない。肝機能に異常が認められる人は、C型肝炎の可能性を排除するためにも、積極的に検査を受けて欲しいところだ。

現在の医療行為ではC型肝炎に感染する危険性はきわめて低いので、感染していないことを確認しておけば安心。肝機能の異常の有無にかかわらず一度はC型肝炎の検査を受けて、自分が陰性であること(感染していないこと)を確認しておくことが大切だ。C型肝炎は、A型、B型肝炎ような予防接種がないので、確実な予防法があるわけではないが、感染の機会は極めて限られている。今後新たに感染することはほとんどないだろう。

もし感染していることがわかったら、飲酒はもちろんのこと、風邪薬など市販の薬の服用をしないこと、そして十分に休息をとるなどして肝臓をいたわる生活に変えることで、慢性肝炎の発症はもちろん、肝機能の低下を防ぐことが可能だ。とにかく少しでも早く感染を知ることが肝心だ。