メタボリック症候群の疑問

「高血圧や高血糖といった生活習慣病の危険要因を同時に抱えると、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高まるが、その程度は、太っているよりもやせている人の方が高くなりやすいことが、厚生労働省研究班(主任研究者=上島弘嗣・滋賀医科大教授)の調査でわかった。来年度から、生活習慣病予防のための特定健康診査(特定健診)が始まるが、その柱となる「メタボリック症候群(内臓脂肪症候群)」の診断基準が、やせた人たちのリスクを見逃してしまう可能性を示したものだ。」
朝日コム より 抜粋

このような記事が今朝の新聞等で報道されている。
このところメタボリックという言葉が独り歩きして、あたかも太っていることだけが悪い評価を受けてしまっている。しかし、現実問題としてメタボリック症候群はもっと細かく評価されるべきものであり、ある意味医療者の都合で決められた数字だけで評価するべき問題ではないことを意味する。

ただし誤解は禁物だ。今朝のニュースを見て太っていても問題がないとは決して思わないで欲しい。肥満とともに心筋梗塞や脳血管疾患などの循環器系疾患が増えることは世の常識で、この事実にはいささかの変更もない。
今回指摘されているのは、たとえ痩せていてもメタボリック症候群の基準である高血圧、高中性脂肪、低HDLコレステロール、高血糖のうち二つ以上が重なると循環器系疾患の罹患率が、太っている人よりも高くなるということだ。

太るに従って血圧が上がり、中性脂肪が上昇し・・・、ということであれば、原因が極めて単純であって対処もしやすい。もちろん少々痩せるだけで健康度が大幅に上昇することも珍しいことではない。
ところが痩せている人の場合、何か問題があって高血圧や高脂血症が起きている可能性があるわけだ。対処しにくいどころか、何か基礎疾患を抱えている場合が少なくないはずだで、その部分も危険因子として捉える必要がある。

腹囲が男性85cm、女性90cm未満であればメタボリック症候群とは言われないがだからといって安心できるものではないことは今朝の報道通り。反対にこの条件を上回っているからといって、ただちに健康状態に問題が生じるともいえない。自分自身の危険度を簡単に知る方法は、体重の変化率だ。20歳頃の体重からどの程度変化したかを頭の中においておくことだ。20kg増えたのであれば、その分脂肪が増えていることを意味すると思って間違いない。(元運動選手など例外はあるが)増えた体重の3分の一を目標に減量すると健康状態がかなり良くなる。

メタボリックの基準である腹囲に満たない場合でも同じで、成人になってから増えた体重は脂肪だ。極端な話、BMI(肥満度)が最も健康的である22、腹囲が80cmという場合でも高脂血症に高度脂肪肝を伴っていたケースもある。この人の場合は学生時代は骨と筋肉と皮しかないという体型だったそうだが、社会に出て運動しなくなって太ってしまった。元がガリガリの体型であったので、たとえBMIが理想的な22であったとしてもそれは肥満の結果なのだ。
メタボリックの基準はあくまでも目安に過ぎない。
メタボリック症候群に関して、医師も含めてもう少し理解を深め判断力を高めるべきだろう。メタボリックという言葉を、流行語のように一人歩きさせていてはいけない。