生カキに注意!

生カキが原因と見られる食中毒がこのところ立て続けに発生している。日時や飲食店はまったく別であるものの、同じ業者「環球海産(ワールドワイドシーフード)」が納入しているカキによる中毒事例であることが判明した。現在、食品安全センターはこの業者に対して出荷の中止を要請しているという。

カキによる食中毒の多くは「小型球形ウイルス(ノーウォークウイルス)」によるものだ。

カキは海水中のウイルスを体内に溜め込み、体内にウイルスを濃縮してしまう性質がある。これを「生物濃縮」と呼ぶが、ウイルスがカキの体内で増殖することはない。したがってカキが水揚げされてからその体内でウイルスが増えることはありえず、流通業者や飲食店の温度管理等が不適切であったり、日数がたって鮮度が落ちたことが食中毒の原因になるわけではない。この点は一般の細菌性食中毒と大きく異なるところだ。

小型球形ウイルスによる食中毒は、もっとも頻繁に起きる食中毒にあげられ、特に冬の食中毒として一般的だ。毎年夏にはその件数が減るのが特徴であるが、今年の香港は夏場を通して発生がおさまった気配が認められず、ある専門家は、ウイルスの性質の変化を指摘している。

「新鮮だから」とか「高級ホテルだから」といったことが、生カキの安全性の保障になることは、残念ながらまったくない。
その意味では飲食店にとっては、食中毒を発生させてしまうリスクが常にあるものと覚悟して生カキを供食するべきであり、できれば生カキは出さないほうが無難であるといえよう。日本のある保健所では、管内の飲食店に対して生カキをメニューに載せないように指導している。もちろんこれは強制ではないが万が一食中毒を出してしまったら、他の食中毒同様即刻営業停止処分となる。中小の飲食店であれば収入減と患者への補償などで経営難から一気に閉店に追い込まれることも十分ありえる。

生カキは食べてはいけない食品なのか?
少なくとも体調が悪いときに食べるものではないことだけは確かだ。免疫力にさえ問題がなければ、体内に取り込んでしまったウイルス量にもよるが、何事もなく経過する可能性が高い。今回同じ業者が出荷したカキで食中毒事例が起きているが、おそらくこのカキを食べて何もなかった大多数の人も感染している可能性が高いとみても良い。ただ発症しなかっただけだ。

このウイルスは患者の便から排泄されるが、下水処理場で死滅することがなく河川や海洋に流れ込む。これを貝類が体内で濃縮する。その貝類を食べた人が感染して、ウイルスを排泄する・・・。このようなサイクルを考えると、人口が多い地域で収穫されたカキは危険であることが理解できる。
日本のカキだから安全というものではない。
日本の生カキのパックには「生食用」「加熱用」の表示がある。これは鮮度の良し悪しや加工方法で区別しているわけではなく、これはカキを養殖している海域による区分だ。

ある専門家の意見であるが、食中毒の危険性がまったくないカキは日本中どこにもないという。しかし、最近では生産業者が出荷前に無菌槽に数日浸けるといった無菌化処理をするなど、その安全性を高める努力をしているため実際に食中毒のリスクはかなり減少していると思われる。

カキが美味しくなる季節であるが、そのリスクを十分理解したうえで食べたいものだ。