中国製痩身薬に西洋薬が混入
香港衛生署は中国製痩身薬から、使用が許可されていない西洋薬が認められたことを公表し、市民にその服用を止めるように呼びかけている。
これまでもいくつもの痩身薬から西洋医薬品が認められるケースがあったが最近公表されたものは下記の2種だ。
1、Xin yan zi pai mei zi jiao nang
(欣燕姿牌美姿膠囊)
未認可医薬品名 シブトラミン
2、Fu Fang Xiao Xie Ling Yi”
(複方消屑靈)
未認可医薬品名 グルセオフルビン
シブトラミンは、オルリスタット(ゼニカル)とともに、米国ではメリディアという商品名で認可されている肥満治療薬だ。
香港でも医師が処方するには問題がないが、ドラッグストアなどでの市販については認められていない。
食欲を抑える作用があるので肥満治療に使うことができる反面、血圧や心拍数が上昇することから、高血圧や心疾患の患者には使用は禁忌となる。 肥満治療に使用される医薬品ではあるが、肥満の人には高血圧や心疾患などを伴っていることが多く、当該医薬品の服用は医師の判断の元でないと危険だ。
一方グルセオフルビンは、なんと水虫の薬として使われている抗菌剤だ。爪の水虫には外用薬の効果が期待できないので、内服薬としてグルセオフルビンがかなり以前から処方されるようになった。副作用として頭痛、発疹、あるいは胃腸障害が報告されているが、なぜ中国製痩身薬に添加されていたのかわからない。実はこのグルセオフルビンは、私が学生時代に通った研究室で、「医薬品による胃腸粘膜障害の発生とその修復」に関して解剖組織学的な研究をおこなったときに使った薬だ。このときは胃腸に対する副作用が強いという理由でグルセオフルビンを採用した。
ダイエットは摂取カロリーの調整と運動が基本であって、痩身薬に頼るのは危険だ。食事量をすぐ減らすことができなければ、少なくとも脂っこいものを避けることで摂取カロリーをかなり減らすことができる。それができないから・・・と聞こえてきそうだが摂取カロリーを減らせなければいくら運動しても痩せられない。運動で消費できるエネルギーは思っているよりずっと少ない。どうしてもコントロールができなくて、最後は手術して胃を縛ったり、縫い縮めてしまったりすることも治療法としてはあるが、そこまでしなければいけない肥満はかなり病的だ。
メタボリック症候群が広く知られるようになり、肥満と健康に関して一般的な認識が深まってきたことは好ましいことであるが、必要以上に肥満を恐れて過剰に反応する人も、特に女性には多い。痩せる必要がないのに薬まで使おうとすることもあるようだが、この場合はもっとも健康被害が出やすいものと考えられる。香港在住日本人で、中国製痩身薬で肝機能障害を起こしていることが、弊社の健康診断でわかったケースもある。
肥満は現代の食生活と非常に関連性が高い。過剰な脂質の摂取が良くないといっても毎日脂っこいものを食べていると思われる中国人(香港人)が、10数年前には太ってはいなかった。肥満が極めて少なかったのだ。これは何を意味するものなのか?ファーストフード(ジャンクフード)店が非常に増えていることも関係していることは間違いなさそうだ。
たまには自身の食生活について考えてみるのも悪くない。