心臓病予防、魚に効果

魚を多く食べる人はあまり食べない人に比べて心筋梗塞や狭心症になるリスクが小さいことが、約4万人を対象にした厚生労働省研究班の調査でわかったという。

この研究は大阪大学の磯博康教授が中心となって、岩手、秋田、長野、沖縄の4件で食事アンケートをしたうえで、1990年より11年間にわたって追跡調査されたものだ。

虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)になるリスクは、魚を食べる量が少ない人(1日20g)に比べて、最も多い人(1日180g)は37%低かったという。心筋梗塞に限定したうえで、魚の油成分であるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の摂取量に換算して最大摂取の人と、最小摂取の人を比べたところ、そのリスクは65%も差が出たという。

さて、ここからが私の個人的な意見だ。
この記事を読んだ人は、たぶん魚をたくさん食べると心臓病にはなり難いということを漠然と意識することだろう。確かにEPAやDHAの摂取は心疾患をはじめとして、心臓血管系疾患のリスクを下げることは確かだろう。

しかし魚をたくさん食べるということよりも、現在の食生活や運動習慣などの生活習慣を見直すほうが先であり、その方が心疾患予防には効果的であるはずだ。肥満、高脂血症(高コレステロール、高中性脂肪、低HDLコレステロール)、高血圧、多血傾向などを改善することが必須であり、その上で魚食を増やすのであれば、それはそれで良いだろう。さらに喫煙者は禁煙しないことには心疾患などでの死亡リスクは下がらないことも明らかだ。運動不足を改めることも大切。

心疾患など循環器系疾患の最大の原因は肥満だ。魚を一生懸命食べることよりも、1kgでも2kgでも減量することのほうが、心疾患予防には即効性があるはずだ。肥満を解消することを当面の目標としたい理由はここにある。積極的に魚を食べることを勧めるのではなく、食べ過ぎないことを啓蒙するべきだ。サプリメントのように何かを取り込むという考え方よりも、現在何も考えないで食べているものの中から不要なもの、身体によくないと思われるものを取り除くことを意識するべきだ。その意味では肉類や脂質の摂取を減らすことには大きな意味がある。

魚をよく食べる人は、その分肉類の摂取が少ないかもしれない。摂取カロリーも少ないかもしれない。喫煙者はどうだろう。肥満度はどうか。運動習慣は?遺伝的要因はどうか。調査対象となった人々に関してどこまでそのバックグランドを捉えた上でこの調査がなされたのか。食事アンケートという調査対象者側の答え方に大きく依存する方法で、どこまで正確性を図ることができたのだろうか。

とにかく心疾患にかかわる因子は多く、そして複雑に関連する。原文を読んでいないので今回の研究成果を批判する立場ではないが、そのあたりが大いに気のなるところだ。この研究成果は、今後の食生活や生活習慣の改善に役立てるひとつのきっかけとなることを期待したい。

ところで魚油に関しては、イワシやサバなどの青魚にEPAやDHAが多い。ある研究者によるとこれらの缶詰でも十分に効果を期待できるそうだ。もちろん缶詰を食べれば良いというわけではない。あくまでも参考までに・・・だ。