ノロウイルス集団感染

 香港の隣、シンセンの小学校で「謎の病気」が流行しているとの報道がある。学級閉鎖を余儀なくされたケースもあり当局からの警告文書でさらに住民不安が高まっているという。しかし、記事を一読しただけで、冬に流行する「ノロウイルス」の集団感染であることが容易に想像できる。ノロウイルスであればほとんど問題はなく、市民が不安に陥る必要もないことだ。当局から住民への警告書の内容はもちろん問題であるが、そのことを何も考えずに報道したマスコミも住民不安を増幅させたことに責任があるだろう。SARSの際にも報道が問題になったが、これではその教訓がまったく生かされておらず、今後予想される新型インフルエンザに対する報道姿勢も、不安をあおるものにならないかと心配になる。

 さて、ノロウイルスだが、冬に流行する「非細菌性急性胃腸炎」を起こす代表的なウイルスで、カキなどでおきる食中毒の原因になる。感染力が非常に強く、ごくわずかなウイルスで感染するため、感染者が嘔吐したときに周囲に飛び散るミストなどでも容易に感染する。学校など集団生活の場で大勢の患者を一時に出すことも珍しくはない。昨年は香港の学校でも集団感染が起きている。

 家庭内でも下痢や嘔吐の患者がいる場合は十分に注意することが大切だ。とくに吐物を処理するときは手袋をして、事後は石鹸で十分手洗いすることが必要。トイレでの手洗いなどは感染予防策として基本中の基本だ。

 冬の食中毒はこのウイルスが主流であり、特に生カキには十分注意することが大切。体調が悪いときは免疫力も低下しているので、生ものは食べないほうが無難だ。はじめは食中毒でも、人から人に感染させてしまう可能性が大きく、時として集団感染を起こすのがノロウイルスの特徴だ。

 予防接種など確実な予防方法は今のところ期待できない。感染発症しても、特効薬があるわけではないので、下痢に対する対応をして、ゆっくり休むくらいしか手立てはない。下痢には十分な水分補給が必要。

 流行シーズンは春まで続く。クリスマスから旧正月にかけて外食する機会も増えると思うが、生ものには十分気をつけたい。