世界糖尿病デー

 今日、11月14日は世界140カ国・地域によって構成される国際糖尿病連合が定めた世界糖尿病デー(World Diabetes Day)だ。インスリンを発見したフレデリック・バンティングの誕生日であることから、この日が 選ばれたという。(1891年11月14日カナダ、トロント生まれ)

 今年のテーマは「糖尿病とフットケア」。糖尿病の合併症で「足の切断を防ごう」がスローガンとなっている。なんとも恐ろしい話だ。糖尿病は今やたいへん身近な病気で、周囲に一人や二人必ず患者がいるほどだというのに、合併症で足を切断する危険性があるという事実はたいへんショッキングである。しかし糖尿病デーのスローガンに採用されるということは、それだけ足を切断せざるを得なかった多くの患者がいるということで、糖尿病患者はもちろんその予備軍と呼ばれる人々も十分に注意する必要がある。

 日本人の場合、全人口の10%にあたる1300万人もの患者が存在するものと推定されているが、そのうち治療を受けているのは半分にも満たない。治療を怠ると、下肢切断のきっかけとなる末端壊死、腎不全、失明など重篤な合併症の危険性が非常に高くなる。ちなみに新規透析患者の多くは、糖尿病の合併症で腎不全を起こしてしまった患者だ。合併症はどれもたいへん重い病気だ。糖尿病の本当の怖さはこの合併症にあり、医師による治療や指導管理を積極的に受け、食事療法はもちろんのこと、必要であればインスリン注射も受けるべきだろう。

 糖尿病はその発症因子が遺伝する。両親あるいは祖父母のいずれかが患者である場合、糖尿病の発症リスクは格段に高くなる。もちろん遺伝因子を持つ人が必ず糖尿病を発症するわけではなく、主に「肥満」という引き金を引いてしまった場合に発症するわけだ。自分がハイリスクに該当する場合は絶対に太ってはいけないと心得ておきたい。

 糖尿病は発症してしまったら治癒することはできず、一生コントロールしながら病気と付き合うことになる。血糖値さえきちんとコントロールできれば決して怖い病気ではないのだが、この「コントロール」が難しく徐々に悪化してしまう患者がたいへん多い。

 香港在住の日本人にも糖尿病患者あるいは予備軍に入る人は非常に多い。糖尿病発症のリスクを指摘されたことをきっかけに減量に努力して改善できる人もあるが、放置して悪化させている人がかなり多い。糖尿病は痛みなどの自覚症状が全くないといってもよく、それだけにコントロールするためには強い意思が必要となるわけだ。

 血糖値が高いという指摘を受けた場合、食事制限(カロリー制限)するとともに運動を日常生活に積極的に取り込み改善に努めて欲しい。また糖尿病の可能性を指摘された場合は、強い危機感をもってできる限り早く医師の診察を受けて、必要であれば治療するべきだ。高めの血糖値であってもその値が低ければ低いほど管理しやすい。40歳以上の4人に一人は糖尿病、あるいはその予備軍といわれる。この人達にとっては、糖尿病デーのスローガンである「足の切断を防ごう」は決して他人事ではない。