食品保存と食中毒
一部の食中毒を除き、夏の暑いシーズンには多くの食中毒が起こりやすいものだ。食品保存には十分気をつけたいが、例えば冷蔵庫の中の食品がまだ食べられるか、あるいはもう食べない方が良いのか、消費者は何を基準に判断しているのだろうか。
賞味期限や消費期限で判断する人が多いと聞く。期限が切れてしまったらすぐに捨ててしまう人も多いそうだ。臭いで判断する場合もあるだろうが、どれも食中毒予防という観点からは必ずしも正しい対処とはいえない。
ちなみに賞味期限は「定められた方法により保存した場合、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日」のことであり、この期限を超えても直ちに食べられなくなるというものではない。一方、消費期限は「定められた方法により保存した場合、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くおそれがないと認められる期限を示す年月日」であり、この期限内に消費しなければいけない。弁当など劣化が著しい食品は時間表示されている。もちろんこれらの期限には安全率が見込まれているので、実際問題として消費期限を1日過ぎたからという理由だけで食べることができないというものではない。
食中毒を予防するためには、この記載に従っていれば良いというわけではなく開封したとたんにこの期限はなくなることを覚えておきたい。開封後はたとえその食品の賞味期限が長くても、即消費することが求められる。特に缶詰は賞味期限が非常に長い割には、開封後には急速に食品劣化が進むので、残すことは好ましくない。
食中毒は一般家庭で最も多く患者が出ている。レストランなどでの食中毒は目立つものの、それほど患者は多くはないのが現状だ。
では、なぜ一般家庭で食中毒が起きるのか。
ひとつは冷蔵庫の過信だ。とにかく冷蔵庫に入れておけば安全だと思っていることがひとつ危険なことだ。低温でも食中毒菌は増殖できる。もちろん増殖のスピードは遅くなるが、増えないわけではない。また冷蔵庫を開閉することで思った以上に庫内温度が変動するため、開閉頻度が多いと適正な低温を保持できない恐れが大きい。冷蔵庫内の詰めすぎにも注意したい。
食中毒菌を付けないこと、増やさないこと、そして殺すことは食中毒予防の大原則だ。生で食べるものと過熱しなければいけない食品を接触させることは当然危険であるが、過密な冷蔵庫内では起きやすいことだ。
適切に保存するか、あるいは直ちに消費してしまうかで食中毒菌を増やさないこと、そして火を良く通すこと。不完全な調理によって食中毒を起こしている事例が相当あると思われる。塊の肉ならば表面さえしっかり加熱されていれば問題は少ないが、ミンチ肉を使うハンバーグなどは中心までしっかり加熱されていないと危険だ。
香港では夜間に暗がりでバーベキューする姿をよく目にするが、極めて食中毒が起きやすい状況だ。暗がりでは焼け具合がわからない。しかも食材はすでに加工されているものを郊外にまで運び込んでいるのであり、食中毒になるためにわざわざバーベキューしてるのではないかとも思えてしまう程だ。
臭いは食中毒予防の基準にはならない。たとえ食中毒菌が増えても臭いはしない。食品が臭ってくるのは、腐敗菌が増殖しているからであり、腐敗菌では食中毒は起きない。また極端な話、糸を引いてしまった食品があったとしてもただこれだけの理由で食中毒になることはない。これも腐敗であって食中毒菌の増殖ではない。鮮度の問題だ。
食中毒の予防を嗅覚や味覚といった経験的なものに頼るのは危険なので、消費者は上記の3原則を踏まえた上で、食品に記載された期限だけを判断基準にすることなく、適切に食品を扱うべきだろう。
細菌性食中毒にはまだ当分の間、十分な注意が必要だ。
特に多くの食中毒が家庭内で起きていることをふまえて、食品の取り扱いには慎重になって欲しいものだ。