子宮頸がんの原因―多くが知らず
香港大学が行なった「子宮がんの原因についての一般女性の認識に関する調査」で、正しい認識を持つ人が極めて少なく、その多くは原因を誤解していることがわかったという。
子宮頸がんの原因は何かと問う質問に対して返ってきた回答は、公衆トイレの便座の使用、大気汚染、タオルの共用、睡眠不足、不健康な食事、頻繁な性交渉、遺伝、運動不足、ストレス・・・等だそうだ。
香港人は公衆トイレでは便座に座らないからトイレがたいへん汚いという話しを聞いたことがあるが、このような理由もあったのかと改めて納得してしまった。ここに上げられた回答はすべて間違いだ。強いて言えば性交渉が近いといえるが、正確な解答として多くの人に「HPV感染」をあげて欲しかった。ただし現時点において、私は一般に対してこの回答を求めるには難しすぎた質問ではないかと思う。結果は仕方がないので、今後の啓蒙活動にぜひ生かして欲しいものだ。
子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)であることがわかっている。HPVには性交渉で感染し、感染が長期間持続してしまった場合にがんを発症させる危険性がある。パピローマウイルスは現在100種類以上が発見されており、この一部が発がんに関与しているほか、通常のイボの類も同じ種類のウイルスが原因とされる。また性感染症の尖圭コンジローマも同じだ。
もちろんイボががんの原因になることはない。
子宮頸がんや尖圭コンジローマを予防する目的で、すでにワクチンが米国FDAで認可(2006年6月)されている。日本では今のところ治験段階ではあるが、米国で行なわれた大規模臨床試験では、未感染の女性に対して80%程度の効果が認められて、さらにすでに感染してしまっている女性に対しても一定の効果が期待されている。香港でもすでに接種が可能なので、中学生以上の女性には接種を考慮しても良いだろう。
接種は半年をかけて3本おこなう。現在のところその費用は3000ドル以上。しかも肝炎予防接種のように、これで100%の予防が期待できるというものではなく、毎年の婦人科検診を免除できるという性質のものでもない。早期で発見すれば100%治るがんだといわれている子宮頸がんに対して、どこまでその予防に関して費用負担できるかということに関して、意識レベルに個人差が非常に大きいことは確かだ。もし全員が予防接種を受けるのであれば、子宮頸がんの患者が激減することは確実で、その意味でもワクチン価格を大幅に安くすることが今後の大きな課題になろう。
ここまで読んで、男にはほとんど関係ないと思っている人も少なくないかもしれないが男性はウイルスの運び屋だ。その「意味」をしっかりと認識する必要がある。
またすでにHPVに感染していることを健康診断等の結果で知らされている女性もいると思うが、HPVに感染したら確実にがんになるということではなく、あくまでも持続感染した場合にそのリスクが高くなるということだ。感染者は半年に1度の検査を行なえば安心だ。もちろんウイルスがいつの間にか消失することもある。
胃がんの原因になる「ヘリコバクターピロリ」、子宮頸がんの原因になる「HPV」など微生物もがんの原因になることが知られている。特にこの2種類は健康診断でも簡単に検査できる。早く感染を知って、適切に対処することで、がん発症のリスクを下げることが可能だ。