中国のHIV(エイズウイルス)感染者数急増中

「中国国務院(中央政府)エイズ予防・治療工作委員会弁公室は今年7月末までに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者数が21万4300人に達したことを明らかにした。このうち5万6758人が発症し、1万8246人が死亡したという。また、今年上半期に報告された新規感染者数は1万8543人、発症者数4314人に対して、死亡者数は2039人となっており、同弁公室として、感染者の上昇傾向に強い懸念を示している。なお報告されていない患者も含めると、感染者数は約3倍の65万人に達すると推定される。」

上記のような内容が報道されているが、当然のことながら実際の感染者数は公表された数字を大きく上回るものと思われる。

世界のHIV感染者数は総人口に対して0.6%くらいだ。感染率は国や地域差が非常に大きく、累計患者数が0.01%にも及ばない日本に対して、世界で最も感染率が高いといわれるアフリカのスワジランド王国では、なんと3人に一人がHIV感染者といわれている。実際に世界のHIV感染者はサハラ砂漠以南のアフリカに集中しており、総人口では世界の2%にしかならないこの地域の感染者数は、世界の感染者数の約30%が集中しているというからその突出率に驚かされる。

ところで中国のHIV感染についてであるが、国務院から公表された数字が正確なものかどうかというと、かなりの疑問符がつくのではないだろうか。もちろん故意に事実を矮小化して公表しているというわけではなく、実際は検査率が低すぎて、全体像がつかめないと考える方が妥当ではないか。

ここ数年思うことであるが、中国がHIV感染に関して内外に具体的な数字を出してきていることは、それだけ深刻な事態が進行しているからではないかということだ。ほんの数年前には中国の国家機関あるいは地方機関からHIVに関して懸念を示すような数字などほとんど公表されていなかったと思う。

アフリカでの感染者数が多いのはなぜか?もちろん相当に深刻な事態に陥っていることは間違いないが、個人的な見解ではあるが検査総数に原因があるものとも思われる。発展途上国に対して直接的ともいえるほど医療行政にかかわっているWHO(世界保健機関)は、かなり正確な医療統計をだしていると考えられるからだ。

中国にはアフリカ諸国に直接かかわるような、深く入り込んだWHOの活動はない。医療行政は中国独自に管理されているだけに、そこから正確な数字が出てくるか疑問が生じるが、中国政府がこのような数字を出し始めたことは、十分に注意しなければ行けないサインであると捉えたい。