企業におけるメタボリック対策

昨晩のNHKニュースで、来年4月からメタボリック症候群予防対策として腹囲測定の実施が義務付けされるのを前に、すでに多くの企業ではメタボリック対策に取り組み始めていることを紹介していた。最後に男性アナウンサーは「誰もが痩せたいんですよね。それができないから困るわけで、もし減量したら給料がその分上がるのであればみんなこぞって減量に取り組むでしょうね」というようなことを発言していた。

確かに減量は循環器疾患のリスクを低下させ、企業としての生産性を上げることにつながるという意義があることに対して異論はない。社員の死亡率を下げるのみならず、欠勤率(病欠率)も少なくなることが期待できる。厚生労働省では健康診断で腹囲を測定するのみではなく、保健師等による具体的な保健指導なども導入するよう求めている。企業にとっては社員の健康管理に大きな効果が期待できる一方で、それなりの負担も強いられることは確実だ。一般企業からは、そこまで行政が一方的に要求する必要があるのかという強い反発もあがっていると聞く。

別の番組では三重県の自治体が幹部クラスのメタボ対策として、市民に目標を公表した上で期限付きで減量に取り組んだ結果が発表されていた。途中、この試みに参加した職員がジョッギング中に突然死するという不幸があったものの、体重やウェストサイズは皆改善されていた。はたしてこのような取り組みは本当に意味があるのだろうか。

ところで、最近の風潮として太っていることがメタボリックであると単純に解釈してしまう傾向が広まっており、肥満が「悪」であるというような思考が一般に定着しつつあるように感じる。太っている人はいっそう肩身が狭くなってきているのではないかと思うが、肥満が悪いことであると決めつける理由はどこにもない。

たとえ太っていても、循環器系に何も問題がないという例はいくらでもあり、一律にメタボリック症候群だとまとめてしまうのは好ましいことではない。体系に関係なく、健康診断等で現在の健康状態を客観的に理解しておく必要があり、それをベースとしてどうしなければいけないかを判断するべきだ。基本的な情報なくして、太っているからといって、やみくもに痩せようとしても意味がないばかりか、減量中の事故の原因にもなりかねない。

血液検査では、血糖値、中性脂肪、HDLコレステロールの値の変化に注意したい。毎度の検査結果がたとえ基準値内であっても悪い方向に変化しているのであれば十分な注意が必要と判断したい。この点がメタボリック症候群という「流行語」に振り回されてはいけないところでもあり、健康を指導する側(医師、保健師など)にも求められることだ。