ノロウイルス感染、流行中

ノロウイルスを原因とする食中毒患者が今の季節急増している。もともとノロウイルスは冬場の食中毒における最も多い原因とされ、カキの生食が危険視されてきた。今でも生カキは危険であることに違いないが、日本産生カキに限れば生産業者が危機感を抱いてカキを無菌化処理することが多くなったので安全性は高まっており、日本に限ればカキを原因とする非細菌性急性胃腸炎(食中毒)は減ってきている。しかしノロウイルスは感染力が極めて強く、空気中に漂うウイルスによっても容易に感染するため、学校や老人施設などの集団生活の場で多くの患者を出しており、昨年の日本での感染者数は過去最高を記録している。

感染経路として重要視されているのは、嘔吐物や下痢便からの飛沫。小さなミストが乾燥し、短時間ではあるものの空気中を漂うことで周囲の人に感染を広げる。ウイルスは小腸で増殖するがわずかに胃へ逆流しするため、嘔吐すると吐瀉物にウイルスが混じる。ごくわずかなウイルスで感染するため、嘔吐物を処理する際も細心の注意が必要となる。嘔吐物の処理にあたってはゴム手袋とマスクを着用し、処理する本人以外はできる限り離れる(1~3m)。拭き取りに使ったティッシュ等はビニール袋に密封して廃棄するとともに、吐いた場所は次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤)で消毒する。アルコール類は無効だ。

クリスマスを迎えるこれからの季節は、ビュッフェスタイルでの食事の機会も少なくないだろう。ビュッフェには生カキが付きものであるが、体調がすぐれない時には手を出さない方が無難だ。免疫力が高ければ感染しても発症しなくてもすむが、体力が落ちているときは非常に感染しやすい。

ノロウイルスに感染して急性ウイルス性胃腸炎を発症しても、予後はよく4~5日もあれば回復する。しかしその後も1~2週間はウイルスが便から排泄されるので、特に家庭内では感染予防に努めなければいけない。最も大切なことは手洗い。そしてトイレの消毒だ。もちろん感染した本人が食品を調理する際には十分注意することが必要だ。

なお、下痢しても下痢止めを服用してはいけないという専門家も少なくはない。これはO157感染の時から特に言われるようになってきたが、下痢は体内の毒素やウイルスを早く外に出そうとする作用であり、人為的に止めてはいけないとされるからだ。ノロウイルス感染でも、下痢止めを飲むのではなくスポーツ飲料などの服用で脱水と電解質異常を防ぐことが重要だ。