鳥インフルエンザ、人ー人感染か?

中国保健省衛生部の報告によると、江蘇省南京市で12月3日に24歳の男性がH5N1鳥インフルエンザに感染したことが原因で死亡したが、その父親も感染していることが12月6日に確認された。この父親は、死亡した男性の濃厚接触者の一人として医学的監視下におかれていたが、12月3日に症状を呈し現在入院治療中だ。

中国で確認されている患者はこれまでに27名、そのうち17名が死亡している。

今回死亡した男性の感染ルートは確認されていないが、父親には鳥と接触した経緯はなく、この死亡した男性からH5N1ウイルスが人ー人感染した可能性を否定できない。中国当局は今回の患者から得られたウイルスを調べた結果として、H5N1ウイルスが新しいタイプに変異したという可能性を今のところ否定しているが、このウイルスが人から人に感染したことを強く疑うケースは、昨年インドネシア(北スマトラ州)でも発生している。

日本の厚生労働省は、今回の事例は人ー人感染である可能性があるとして、南京に10日以上滞在していて、なおかつインフルエンザ症状を示している入国者を、感染検査の対象者として監視を強化するという。

現在のところ鳥との接触がH5N1の主な感染ルートであるが、家族内などで患者との濃厚な接触があれば感染する可能性があることは否定できない。
しかしウイルスそのものが変異して新しいものに生まれ変わったという報告はなく、現在のところ人から人への感染も偶発的なものであると考えられる。

WHOはじめ世界各国の専門機関ではH5N1ウイルスがいつ人のインフルエンザに変異するのかを神経質に調査しているが、今のところ人に影響するようになったときに、どのようなウイルスに変異しているかその性質を予想することは不可能だ。ある説によると、毒性があまりにも強ければ、感染宿主(患者)がすぐに死んでしまってウイルス自身も生き延びることができないため、大流行するまでには毒性がかなり中和されているのではないかともいう。
事実、現在のような高い死亡率では次に感染させる前に宿主が死亡してしまうので、急激な感染拡大はできない可能性が大きい。

H5N1感染事例は世界的に散発しているだけであり、現段階でいたずらに不安を覚える必要はない。普通のインフルエンザ対策を日常生活に取り入れることで、H5N1に限らず、多くの感染症の感染予防につなげたい。休養や食生活の改善で免疫力の増強に努めることが大切。そのうえで日々の情報にも耳を傾け、現状を常に把握していくことが必要だろう。

なお、鳥インフルエンザ対策としては、通常のインフルエンザ対策に加えて鳥に触れないこと、死んだ野鳥に近づかないこと、鶏肉や卵はよく加熱して食べること、鶏肉や卵を調理したときは、良く手を洗うことといったことがあげられる。
生肉や卵を触ったときに手を洗うのは、食中毒予防の観点からも常識だ。