鳥インフルエンザ感染拡大
北半球の冬季シーズンに入って、鳥インフルエンザの活動が活発になっている。12月の鳥-人感染発症事例は世界で15名となっており過去3年では最高を記録している。
国別では、中国をはじめベトナム、エジプト、インドネシア、パキスタン、ミャンマーにおいて患者が発生しているほか、家禽の大量感染もポーランド、バングラディシュ、南ロシア、ドイツで起きており、今月に入ってウイルスが活発に活動していることをうかがわせる内容だ。
パキスタンでは、人-人感染の疑いでWHO(世界保健機関)が緊急調査に入っているが、政情が急激に不安定化していることから対策が後手に回ってしまう危険性もある。1997年、香港で18名が感染し、6名が死亡したときには人ー人感染は認められなかったものの、鶏はもちろんのこと、自宅で飼われていた愛玩用鳥類までをも含めて極めて大規模に殺処分が行なわれたことで迅速に制圧することができた。香港だからできたことであって、現在のパキスタンでは困難だ。
明るいニュースもある。
現在、接種されている通常のインフルエンザワクチンが、鳥インフルエンザの予防にもある程度効果が期待できるかもしれないとの研究結果が報告された。これはイタリアの研究チームの研究成果であるが、今年2月には米国メンフィスの聖ユダ小児研究病院のチームがマウスを使った実験で同様の結果を得ている。まだ公式に効果が認められたわけではないので、当てにすることはできないが、現在のところ打つ手がないと思われている鳥インフルエンザ感染予防に関して朗報と解釈しても良いだろう。
これから生まれてくるであろう新型インフルエンザのワクチンに関しても、そのウイルスの構造を予想しながらある程度のところまで開発が進んでいるので、こちらも大いに期待したいところだ。
従来インフルエンザワクチンの製造には鶏の受精卵が必要であり、このことが大量生産のネックにもなっていた。最近、細胞培養技術を応用してワクチンを製造する技術が確立されたため、短期間に大量のワクチンを製造できる目処がたってきている。最終的な新型インフルエンザワクチンの製造は、実際にウイルスがあらわれてからになるが、そのウイルスに対するワクチンを短時間のうちに世界人口分を準備するのが目下の目標とされている。
ウイルスが変化するスピードと人間の頭脳との競争だ。
鳥インフルエンザを強力に制圧しながら、時間を稼ぐ必要がある。
今後3ヶ月間はインフルエンザ(鳥インフルエンザ)ウイルスが北半球において活発に活動する可能性が高い季節だ。香港ではランタオ島でも野生の鷹の一種の死骸からH5N1ウイルスが検出されている。
死んだ鳥には近づかないようにしたい。
それ以外今のところ鳥インフルエンザ対策は、通常のインフルエンザ対策と同じだと考えてよいだろう。