旅先での健康管理
来週は旧正月を迎えるにあたり、この時期に旅行を計画している人も多いだろう。南国のリゾートで過ごすことを楽しみにしている人も少なくはないはずだ。寒いこの時期に、熱帯の甘く爽やかな風に吹かれるのは日頃のストレス解消にはとても効果的だ。
しかし開放感に浸っていても虫刺されと食中毒には十分に注意したい。リゾートホテル内では蚊に刺されることは少ないが(個人的にはこれはこれで別の意味で怖さをおぼえる)、たとえ都市部であっても蚊に刺される危険性は少なくはない。
蚊が媒介する疾病で有名なものは、マラリアとデング熱。どちらも高熱を特徴とする感染症で、特に熱帯熱マラリアは日本でも毎年平均200例程度が認められ、そのすべてが海外からの持込み(輸入例)だ。香港でも同じであるが、現地では極めて簡単に診断されるにもかかわらず帰国後には一般に診断がつきにくく、なかには手遅れになってしまうケースもみられる。
マラリアより感染リスクが高いのはデング熱。こちらは軽い症状で終わってしまい患者としてカウントされないケースも相当あると思われるが、稀にデング出血熱を発症し、死亡することもあるので決して侮ることはできない。感染危険地域(熱帯亜熱帯すべての地域)からの帰国後に体調を崩した場合、医師には必ず旅行したことを伝えて欲しい。マラリアやデング熱の予防は蚊に刺されないことしかない。夜間の外出はできる限り肌の露出の少ない服を着ること。また虫除けの使用も効果的だ。
食中毒や伝染病などの感染症にも注意したい。一時香港でコレラ患者が散発したことがあったが、いずれも原因はタイ料理で食べた生えびだった。生ものを避けることは常識であるが、意外に危険なのは氷だ。水割りなど氷を使う飲み物は、余程信頼できるところでなければ避けた方が無難だろうし、旅行中くらいは氷が入った飲物を飲まないくらいにした方が良いかもしれない。もちろん生ものを避けておけば食中毒にはならないという保障はまったくない。感染しないために免疫力を落とさないことも大切だ。無理な計画を立てないで、体力を消耗しないようにしたい。
感染症ではないが意外な落とし穴は日焼けだ。急に日焼けすることは危険だ。ハワイ帰りの若い女性が全身火ぶくれができたため(重度のやけど状態)で成田到着後、救急車で緊急搬送されたという話もある。
日本に帰るからといっても安心とはいえない。
旅先では、たとえ楽しくてもストレスは大きいも。もちろん仕事などで受けるストレスとは全く違って、苦痛に感じるものではないが、身体に与える影響は同じだ。ストレスを受けると免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなる。日本ではインフルエンザの感染にもっとも注意が必要だ。今のところ爆発的な流行ではないものの、患者数は確実に増加しており、導火線に火がついている状態とみてもよいだろう。今日にでも大流行のニュースが出てもおかしくはない。また冬場はノロウイルスにも注意が必要だ。カキが危険だといわれるが、日本のカキはかなり安全性が高くなってきている。それよりも空気感染が成立するほどノロウイルスは感染力が強い。家族内でも嘔吐したときにはその処理には細心の注意が必要になる。繰り返しになるが、とにかく旅行中は体力を保持し免疫力を高く保つことが大切だ。
せっかくの休暇旅行をベッドの上だけで過ごすような事にならないようにしたいものだ。