ノロウイルス感染
最近、日本人家庭でどうやらノロウイルスに感染したのではないかと思われるケースを立て続けに耳にした。ノロウイルスは軽い発熱と下痢や嘔吐など食中毒症状を特徴とし、俗に言う「お腹に来る風邪」と呼ばれる感染症のひとつだ。
感染経路は食物を介するルートと患者の嘔吐物などのミストの吸入が原因となる空気感染的なルートに大別され、感染力はきわめて強い。したがって学校などで大規模な集団感染もおきやすく、また全体の感染者数も極めて多い。特に冬場に多い感染症であり、日本でウイルスが食中毒統計に加えられてからは、例年12月から2月くらいにかけての原因別統計で患者数は常にトップだ。
食品が感染経路になる場合は、その多くが貝類だ。特に消費量が多い生食のカキからの感染が多い。
話がそれてしまうが日本の生食用カキは無菌処理されることが多くなってきたので安全性は非常に高まってることは確かだ。養殖場から引き上げられた生食向けのカキは、無菌槽に数日浸けられる。この過程でカキ体内のウイルスが吐き出されて安全なカキになるという。ただこのような処理をするとカキが痩せてうまみ成分も抜けてしまう。カキフライの材料にもなんとなく「より新鮮そうな」 生食用カキを使う人が多いらしいが、これは間違い!
うまみ成分が失われていない加熱用カキを使った方が美味しいそうだ。
ちなみに加熱用カキと生食用カキの違いは無菌処理するかどうかではなく、養殖された海域によるもの。ちなみにこの海域は水質検査を行なう管轄の保健所が決定する。生食用、加熱用の両者に鮮度による違いもない。
さて、ノロウイルス感染に話を戻そう。
感染発症すると激しい下痢や嘔吐を繰り返す。症状は個人差が大きいが、平均すると完全に症状がなくなるまで1週間くらいであろうか。死に至るような重篤な感染症ではないものの、かなり辛い思いをすることは確かだ。
感染予防は非常に難しい。100個程度ののウイルスで感染してしまうほど感染力が強く、空気感染することから具体的に予防できる手立てに乏しい。カキ等の二枚貝が食品としてはもっとも大きな感染源となるが、免疫力さえ落ちていなければ、たとえ感染しても発症には至らないことも多い。体調が悪いときに生カキを食べることは止めた方が良い。
また原因がわからなくても嘔吐や下痢の患者が家庭内にいる場合は注意が必要だ。もしノロウイルスであればしばしば家族全員が感染してしまうことも珍しいことではないからだ。
特に嘔吐物の処理には気をつけたい。
処理する人以外はできる限り遠ざかること。処理にあたる人はゴム手袋の着用は必須となる。またふき取ったものはビニール袋に密封して捨てることが重要だ。
下痢や嘔吐で診察を受けると、「お腹に来る風邪ですね」との診断を受けることがあるが、これは診断にはなっていない。ただ冬場におきるこのような症状はノロウイルスである可能性が大きいことも確かで、ノロも「お腹に来る風邪」に含めても差し支えはないだろう。どうせ風邪に効く薬なんかない。
下痢や嘔吐には、水分摂取を怠らないこと。電解質を失うので塩分の摂取も必要になるのでスポーツ飲料などは効果的だ。子供に飲ませるときは倍量に薄めたほうが良い。