結核患者の集団発生ー青森県弘前市
今では忘れられた存在に近い結核であるが、実は現在でも多くの患者が発生しており、油断ならない病気であることを改めて思い知らせてくれる事例が青森県弘前市役所で起きている。
青森県は、同県弘前市役所の職員、男女28人が結核に集団感染したことを11日発表した。このうち40歳代の男性が入院中で、5人が通院治療を受けている。
昨年10月、市職員が結核を発症。その後今年1月から3月にかけて職員ら5人が相次いで発症したことから保健所で調べたところ、10から60歳代の22人の感染が判明したという。
日本の結核患者は戦後減少を続けてきたが、あるときから患者が増加に転じ、ほんの10数年前には、新規患者発生数が人口10万人当たり30を超えたことが大きな医療・社会問題化した。厚生労働省はじめ各地の保健所が当時かなりの危機感をもって対策にあたったことでその後は患者数が徐々に減り、現在では全国平均で20程度にまでなっている。
さて、最近10年間の香港での結核患者数の推移であるが1998年の7673人をピークに減少を続け、昨年2007年は5545人(約28%減)となっている。この間、人口が増えたことも考慮すると、香港の結核対策はうまく進められていると判断しても良さそうだ。
それでも人口10万人あたりの新規患者数は約80もあり結核感染には十分な注意が必要な地域であることに変わりない。
香港在住の日本人にどのくらい結核患者が発生しているのか実数はつかめないが、日系の会社内での香港人スタッフの発症などを考えると、日本人或いはその周囲での結核患者発生はかなりの数になるのだろう。もちろん日本人駐在員自身が感染した事例もある。
これまで社内で結核患者が出たことに関して何件か相談を受けたことがある。社内で患者が発生した場合は同じオフィス内のスタッフの感染調査を行なう必要がある。
まずは患者からの排菌の有無を確認すると共に、必要であれば医師と相談しつつ社内の感染拡大がないかを慎重に調べたい。
結核は症状に乏しいこともあり、知らないうちに周囲に感染を広げてしまうことが少なくない。原因不明の咳が続くなど症状があるときはもちろんであるが、定期健診での胸部レントゲン撮影は、欠かさないようにしたい。
肺がんの検査には大きな意味がないといわれるようになってきた胸部レントゲン検査ではあるが、特に結核患者の発生が多い地域では「結核検診」としての意味合いは大きい。
結核菌の感染力はそれほど大きくはないが、発症すると治療には長い期間が必要となる。今後も十分注意しなければいけない感染症だ。