食肉バクテリア

感染すると著しい速さで増殖し、感染部位から周囲に壊死病巣を広げてしまうことから食肉症(Flesh-Eating Disease)と呼ばれる気味の悪い病気が時々おきている。

ほとんど意識しない小さな傷口からでも体内に侵入する原因菌(ビブリオ バルニフィカス Vibrio Vulnificus)は、感染後急速に増殖する。はじめは赤く腫れただけの炎症が、見る間にその範囲を広げ、赤黒く変色して壊死していく(蜂巣炎)。抗生物質で治療が可能であるが、もちろん壊死した組織は元には戻らないので、えぐる様に削ぎ取るしかない。進行が早く、治療が遅れると生命をも脅かされる怖い感染症で、何も治療しなければ感染から12~24時間で死亡する危険性が高いという。

原因菌は海水(塩水)中に棲息するので、海水浴などでは注意が必要だ。特に岩場など足に傷ができやすい場所では細心の注意が求められる。
肝臓が悪い場合(特に肝硬変患者)は重症化しやすいのでできれば海を避けた方が無難だ。
また私が知る日本人の香港での事例では、ジョッギング中に誤って側溝に片足を落としたときにできた小さな擦過傷から感染。足首近くの肉を骨までえぐる手術を受けている。
この側溝は街市(市場)の横を流れており、特に感染リスクが高かったものと考えられる。

昨日、衛生署から公表された患者症例はShatinに住む56歳の女性。今月13日、ケガをした手の親指が腫れてしまいプライベートクリニックを受診。後に公立総合病院(Prince of Wales Hospital)に送られ食肉症と診断を受けた。手術にて壊死巣を取り除き、現在のところ患者の容態は安定しているという。

香港衛生署は食肉症患者の発生を公表するとともに、市民に感染に対する注意を促している。

1、傷口に海水が着かないようにすること。
2、創傷はきれいに洗い、消毒するなどして完全に覆うこと。
3、生きた貝を扱うときは厚手のゴム手袋を着用すること。

そして、ケガをした場合、その傷口周辺が急に腫れて痛むなど異常を感じた場合は、直ちに医師に相談するよう求めている。