食品問題に思うこと
毒餃子事件が中国側でおきた犯罪行為であることが確定し、詰めの捜査が行なわれている。日本側に
とっては、ヤレヤレといったところかもしれないが、次なる問題としてメラミン混入事件が明るみにされ、関連商品が日本をはじめ各国に出回っているとして大騒ぎになっている。日本では事故米事件だ。よくも次から次へと食料品に絡んだ犯罪が起きるものだとほんとうに驚いてしまう。
牛乳へのメラミン混入は、水増しした牛乳を出荷する際、そのままでは検査に不合格になるのを避けるためにメラミンを混入したそうだ。検査では窒素量を目安にするため、悪知恵を働かせた結果、無味無臭の樹脂原料であるメラミンを使うことを思いつき儲けをたくらんだわけだが、それを飲まされた消費者にとっては迷惑千万どころの話ではない。
メラミンは体内で化学反応し腎臓結石をつくる。毒餃子は従業員が一部の製品に農薬を混入させたわけだが、メラミンは会社の利益を膨らませる手段として混入され、しかも関連商品すべてに影響を及ぼしている点で、その悪質性はとてつもなく大きいといえる。
日本の菓子メーカーでは、原料乳の輸入先をオーストラリアなどに切り替える動きがあるが、これはもっとも適切な措置だと思う。オーストラリアは自国の農畜産業を守るため、関連する産品の流入を一切禁じている。卵が使われている月餅を香港から持ち込もうとして没収された話や、赤ちゃんのミルクでも、初日分だけ持込みが許可され、あとは没収されたという話も聞いたことがある。
アメリカの大企業マクドナルドは、なぜオージービーフを使うのか?当然ながらアメリカ牛を使うのが自然ではないかと思うが、いつ狂牛病が発生するかわからないアメリカ産の牛肉を使っていたら、万一その発生の時には世界中で営業がストップする大きなリスクを抱えてしまう。日本の牛丼チェーンはアメリカ牛にこだわってきた結果大きな損失を負ってしまった。家畜飼料を含め一切の輸入を拒むオーストラリアの畜産商品は、もっとも安全性が高いことを、マクドナルドも判っているのだろう。
ところで「事故米」についてであるが、検出されているカビ毒(アフラトキシン)や農薬(メタミドホス)の濃度は人体に影響があるようなレベルとはかけ離れている。食べても危険性はまずない!だから良いとは決して言わないが、日本での報道を見ていると、事の本質をとらえていないものばかりで、こちらの方が余程問題になるのではないかと危惧してしまう。
「ジタバタしていない」といって辞めていった大臣がいたが問題は農水省の対応や、三笠フーズをはじめとするいわゆる「ロンダリング」して儲けていた関係企業にある。それなのに、焼酎メーカーや和菓子製造業者など、いってみれば弱者が、関連商品の回収を余儀なくされたうえに売上げの大幅減少までまねくという、まさに「踏んだりけったり」の状態に泣かされている。元農水大臣が言った「健康に影響がないから・・・」というのは間違ってはいないが、あまりにも舌足らずな発言で、国民の信頼を一気に失ってしまった。問題とするべきもの、問題にしなくても良いものをはっきりと区別して、国として対応することをしっかりとアピールして欲しかった。
回収された食品に、いったいどれだけの有害物質が混入しているというのか。事故米から製造されたでんぷんを使った食品に危険性があるとは思えない。おそらく健康被害のリスクはゼロだろう。米をそのまま使う商品でも、事故米が混入されているだけで、有害物質が検出されたとしてもその濃度は極めて少ないはずだ。個人的には回収は必要ないと思うし、消費してしまっても何の問題も起きないと確信する。
何か問題が発覚すると、すぐに買い控えに走る消費者の行動は仕方がないのかもしれないがあまり意味がない。カビ毒だ、メタミドホスだと騒いで不安を煽る報道にも問題がある。私が1週間ほど日本で見たテレビニュースなどでは、その毒性について正しく評価して、今回の問題に関して不安を打ち消すような報道は皆無だった。視聴率を稼がなければいけないマスコミに、ジャーナリズムの精神は失われているようだ。
食品や大気などから体内に取り込まれる化学物質(有毒物質)は、自分たちが知らないだけで相当な量になっているはずだ。そんな環境の中で我々は生活していることを大前提として物事を判断しても良いのではないかと思ったりもする。食品を扱う企業の犯罪行為は厳しく断罪し、二度と食品を扱わせないくらいにするべきだが、今起きている問題、あるいはリスクに関しては正しく評価して行動することも消費者に求められていることだと思う。