食品のサルモネラ汚染
サルモネラ菌に汚染された米国産ピーナツバターが原因で、数百人がサルモネラ中毒に陥り、数人が死亡するという大規模な食中毒被害がおきたのは、今年1月のこと。同じ米国の食品で、今度はピスタチオがサルモネラ菌に汚染されていることがわかり、昨日、香港でも問題のピスタチオが早速回収されている。
食品問題というと中国を連想しがちだが、実際のところ食中毒の危険性などは世界中にあり、いつどこで同様の問題がおきても決しておかしくはない。食品流通のグローバル化が進み、食品問題は自国内にとどまらない。先に問題になったピーナツバターは米国食品メーカーから世界中に供給されているものであるにもかかわらず、汚染が発覚しても生産を継続していたというからあきれる。
さて、問題のサルモネラ菌だが、これはもっとも身近な細菌性食中毒の原因菌。ピーナツバターやピスタチオであれば、少なくとも日本人にとってはそれほど問題は大きくはない。死者まで出している食品汚染であるにもかかわらず、日本ではおまり報道されていなかったが、日本人への影響の大きさを考慮したうえでの報道だったといえるのではないだろうか。
日本では、サルモネラ菌食中毒は、卵が最も大きな原因食品となっている。ニワトリの消化管に棲息するサルモネラ菌が、卵の内部に何らかの原因で入り込んでしまったのが汚染の原因となる。
ニワトリの、卵が生まれてくるところと肛門は同じで、総排泄管と呼ばれる。つまり卵の表面は極めてサルモネラ菌に汚染される危険性が高いといえるわけだ。日本の卵はその表面を消毒しているので、殻に付着しているサルモネラ菌はほとんど問題にはならないが、インエッグと呼ばれる内部に入り込んでしまったサルモネラ菌はどうすることもできない。日本の卵の消費期限は、このように内部に入り込んだサルモネラ菌が食中毒をおこすにたる菌数に増殖するのに必要な日数に安全率をかけて算出したものだ。
卵かけご飯など、卵を生で食べる民族はほとんどなく、加熱して食べる食品であることは世界の常識といえるかもしれない。生卵は危険食品といえるが、それだけに日本の卵に関する安全基準はたいへん厳格だ。
卵の内部にサルモネラ菌が入る確率は5000個に1個。運悪くこの卵にあたってしまい、しかも加工中に増殖の機会を与えてしまうと危険。特にレストランなどで大量の卵をまとめて割ることは、たった1個の汚染卵ですべての卵を汚染させてしまう危険性があるので、まとめ割りはなるべく避けなければいけない。
一般家庭では、いくら卵表面が消毒されているといっても、卵を扱ったときは手を洗うことは常識。一旦割った卵は早く使ってしまうべきで、割った卵を保存しておいて後日、親子丼などにすることは危険を伴うと考えたい。十分な加熱さえされれば問題はないが、一番美味しいのは半熟程度となると、サルモネラ菌を完全に殺すことができないからだ。
免疫力さえ十分であれば、たとえ感染しても発症にいたることは避けられる可能性もある。体調が悪いときには、卵かけご飯はやめておいたほうが無難だろう。余談だが生カキに関しても同じことが言える。