インフルエンザ警戒レベル フェーズ4へ
メキシコから発生した豚インフルエンザ(Swine Flu)は世界に感染を拡大し、現在のところ感染者が確認された国は5カ国になり、そのほか疑いがある患者を認める国も増え続けている。
初発国メキシコでは、現在までに1995名の入院患者がおり(退院患者も含まれる)、すでに149名が死亡。毎日公表される数字は急増している。
世界的に豚インフルエンザが感染を拡大していることが明らかとなり、WHOでは、今朝、ケイジ フクダ事務局長補によって、フェーズを3から4に引き上げる決定が公表された。これは今回の豚インフルエンザが新型インフルエンザであることをWHOが認めたことになる。WHOでは各国に対策を求め、さらにワクチン開発を促している。その一方で、感染は既に世界に拡大していることから国境の封鎖や渡航の制限までは求めてはいない。ただし感染拡大を防ぐ意味から、具合の悪い人の移動は控えるよう呼びかけている。
日本政府はフェーズ4の行動計画に従って
1、総理大臣を対策のトップに置くこと
2、感染国からの航空機、船舶の入港を制限すること
3、一般には不用不急の渡航を制限すること
4、今後の動向を注視すること
といった内容を発表した。
日本政府は、直ちに日本への感染拡大があるとは思えないとしながらも、空港などの係官を増員し、特に関係国からの入国者(特に発熱患者)の監視を強化するとしている。
これまで鳥インフルエンザ(H5N1)への警戒から策定されていた対策が今後生かされることになるが、ワクチンはH5N1ウイルス向けにこれまで研究開発されてきているので、今回のH1N1インフルエンザでは開発は振り出しに戻ってしまう。米国では既に開発に取り掛かっているが、いくつもの課題があり完成にはかなり時間がかかりそうだ。日本もワクチン開発に欠かせない問題のウイルスの入手を急いでいる。
ワクチンに関しては季節性インフルエンザの製造をストップして、新型ワクチンの製造を優先する方針を厚生労働大臣が打ち出しているが、新型インフルエンザの毒性が弱い可能性もあるので、その場合に季節性インフルエンザワクチンの製造をストップしてまで新しいワクチンを製造する必要があるのかという疑問を呈する専門家もいる。
毎日公表される患者や死亡者の数はとても気になるものでSARSを思い起こすが、この数字をみて毒性や感染力は判断できない。現在世界的に流行しているA香港型インフルエンザでは、日本国内だけでも毎年数百人が死亡している。多い年は1000人を越える死者を出すほど毒性が強いウイルスだ。
メキシコ政府が、すでに3月から通常とは違うインフルエンザを疑う患者が増えていたことを知りながら公表してこなかった疑念もあるようだ。これが事実であるならば、現在分かっている以上にウイルスは拡散しており、これまでは通常の季節性インフルエンザと同じ扱いを受けていた可能性も大いに考えられる。個人的な希望的観測ではあるが、今回の新型インフルエンザはメキシコ以外では死亡者が出ていないことから、感染拡大は今後も続くものの、従来の季節性インフルエンザレベルに落ち着くのかもしれない。
今日から各国で警戒強化されるが、感染即発症ではないので空港などでの発熱患者を監視するだけでは、患者の国内侵入を防ぐことは難しい。感染国からの帰国者が、帰国後に発熱したからといって必ずしも申告するとも限らない。
今後は個人の感染予防がいっそう大切になる。手洗い励行やうがいは基本である。ただし喉のウイルスは付着後20分程度で細胞内に侵入する。細胞に入り込んだウイルスはうがいでは除けないので、あとは本人の免疫を頼ることになる。感染者が監視を潜り抜けて入国してくることが十分考えられることから、人ごみには入らないこと、見知らぬ他人との距離を保つことも必要だ。マスクは、サージカルマスクでは自分の感染予防には十分ではない。一時N95タイプの高気密マスクが求められたがこのマスクをきちんと装着すると、息苦しくとても実用的ではない。SARSのときにN95マスクをしていた人を多数見たがほとんどきちんと装着できていなかったと思われる。つまり、着けているだけでまったく意味がなかったことになる。現在のところ感染予防に効果的なマスクは、不織布製の抗ウイルスマスクだが、品薄になることは間違いなさそうだ。
マスクをしていれば大丈夫というわけでは決してない。ワクチンにも優るといっても過言ではないのが人の免疫力。今回のウイルスに対して抗体を持っている人はほとんどいないと思われるが、異物を排除するシステムは、確実ではないかもしれないが新型インフルエンザにも間違いなく働く。
免疫力を維持するために、バランスがとれた食事(適切な栄養摂取)、休養(十分な睡眠)そして適度な運動が欠かせない。今後の情報に注意することはもちろん、自身の健康管理に努めて欲しい。