新型インフル日本国内で患者確認
カナダから帰国した高校生二人、引率の教員一人が新型インフルエンザに感染していることが確認された旨、今朝、厚生労働省から発表された。
日本での感染確認は時間の問題であったので、感染者が確認されたとしても、まったく驚くことではない。日本国内で感染者が確認されたことが、それほど大騒ぎするようニュースであるのかはなはだ疑問だ。ワイドショーならともかく、ニュース番組では通常枠で十分ではないかと思う。
日本ではワイドショーなどが盛んに新型インフルエンザを取り上げてきたが、ゴールデンウィーク中の海外旅行に大きな変化は認められなかったようだ。もちろんその時点で日本での発生がなかったからでもあるが、今般の報道を見ていると、恐怖心をあおって無意味な過剰反応を一般の人に起こさせないかと不安を感じる。
豚由来のインフルエンザでこれまでにわかっていることは、弱毒性であること、従来のインフルエンザで犠牲になりやすい高齢者に重症例がないこと、タミフルやリレンザといった現在ある抗インフルエンザ薬に十分な治療効果が期待できることといったことだ。
弱毒性の意味であるが、感染した場合に呼吸器までの症状にとどまるということであって、全身症状に移行して重篤な症状に陥ることがほとんどないという意味だ。今回の新型インフルエンザでは、糖尿病やHIVなど基礎疾患を持っている人が多く犠牲になっている。また多数の死者を出しているメキシコでは、貧困から病院へ行くことをためらって、重症化するまで放置してしまったケースが多いという。中には健康な若者が死亡した事例も報告されているようだが、貧困との関係など詳しくし調べる必要があるだろう。
今回のH1N1型新型インフルエンザの毒性は、毎年流行を繰り返すA香港型インフルエンザ(H3N2)と同程度といわれる。H3N2型ウイルスの犠牲者は日本国内だけでも毎年数百人、世界的には途上国を中心に数十万人がこのインフルエンザによって命を奪われている。今回の新型インフルエンザを異常に恐れている人も少なくないようだが、季節性インフルエンザには無頓着であることと矛盾している。
メキシコで生まれたと思われる新型インフルエンザはこれまでのところ感染が確認された人は3000人を超えた。そのうち死亡は50人弱だ。感染しても症状が出ない不顕性感染もあるだろうし、ごく軽い症状で治療も受けることなく(診断されることもなく)治っている人もいることだろう。実際のところ何人が感染しているかは、大規模な抗体検査でもしないかぎりつかめる数字ではない。
すでに世界的には相当な数の感染者がいるのかもしれないし、その可能性も小さなものではないだろう。現に米国では急激に感染確認者が増えており、その数はメキシコの患者数を上回っている。今後は世界的に感染者が増え、現在の季節型インフルエンザと同じく、いつ感染してもおかしくはない通常のインフルエンザになるかもしれない。
また今後の変異に関しても未知数であり、毒性を強める危険性も否定できず、十分な監視を続けることが重要だ。
大きな懸念はやはりH5N1鳥インフルエンザだ。現在散発的に発生しているが、こちらの感染が拡大してくるととても厄介だ。豚由来新型インフルエンザに振り回されることなく、決して警戒を怠ってはならない。