新型インフルエンザの死亡率

オランダ・ユトレヒト大学の日本人研究員がアメリカおよびカナダでの新型インフルエンザの死亡率
を、およそ0.5%であると推計した。これは現在の季節性インフルエンザの死亡率0.1%をはるかに上回り、アジア風邪と同じではないかと考えられる。

ちなみにアジア風邪は1956年に中国南西部で発生したとされ、香港を経由して世界的に大流行し世界で200万人が死亡した。このときは日本でも200万人が感染し5700人が死亡している。

昨日(8月18日)までのところ、香港での感染者数は7561人、死亡は4人となっている。単純に計算するとおよそ0.05%の死亡率だ。ちなみに0.5%の死亡率とすると、香港では38人程度の死亡という計算になる。

アメリカやカナダの状況は、新型インフルエンザの発生初期のものであって、その死亡率を一般的な死亡率として推計することは少々乱暴な気がする。

現在大流行しているオーストラリアでは、死亡率は0.3%程度。日本の状況は患者数の全数をカウントしていないので簡単には計算できないが5000人は超えていると思われる。その患者数に対して、死亡は沖縄の男性1例にすぎない。

死亡率の計算は極めて困難だ。感染して発症すれば患者数にカウントされるが、感染症は感染しても発症しないことが多い。免疫力さえ十分であれば感染してもまったく症状があらわれないか、あるいはきわめて軽い症状でおわり医療機関を訪ねることもない。したがって正確な感染者数を把握する事ができないので、死亡率は統計処理をして推計するしかない。

北半球では10月以降の季節性インフルエンザの流行シーズンに新型インフルエンザが爆発的に流行することが懸念されている。感染者数が増えれば、今後北半球での死亡例も増えてくるだろう。

これまでのところ心臓病や糖尿病など基礎疾患を有する感染者に死亡例が集中しており、健康であればたとえ感染しても軽症ですむものと思われる。新型インフルエンザが強毒化しているとの報告も今のところないので、日頃の健康管理に注意することで、たとえ感染しても重症化は防げるものと考えられる。

日本や香港など平均寿命が高い国や地域は医療体制が整っている。このような場所では当然死亡率も低くなるだろう。問題は途上国だ。アフリカではHIVの感染者が極めて多く、ただでさえ国家存亡の危機にある国もある。そこに新型インフルエンザの流行が重なると、死亡率が著しく高くなることも予想される。途上国での流行は、現在WHOが新型インフルエンザに関して最も懸念していることのひとつだ。

繰り返すが、現在流行中のH1N1新型インフルエンザは基礎疾患を抱える人にリスクが高いことが明らかだ。循環器系の問題は肥満が原因になっていることも多い。新型インフルエンザの本格的な流行が懸念される季節まではまだ時間があるので、問題がある人は今から減量に努めることが大切だろう。