インフルエンザ感染予防の勘違い

厚生労働大臣が新型インフルエンザの大流行の兆しがあるとして記者会見を開いたが、前後してプロ野球の日本ハム選手団に集団感染が認められた。

「日本ハム」は感染予防対策として、疑いがある選手を試合から外したほか、選手のマスク着用を推奨。また、球場に観戦に来た観客に対しては、手指消毒するためのアルコールを多数準備している。

テレビ報道では選手がマスクを着用しているだけではなく、観客にもマスク姿が目立ったようだ。また多くの観客が用意されたアルコールを手にとって手指消毒していた。
(マスク姿や消毒しているところだけを切り取ってニュース映像にしている可能性もあるので、映像の見方には少々の注意が必要。)

さて、ここで行なわれているアルコールによる手指消毒であるが、手洗いに比べて簡便であり、水道設備がない場合などに多用されている。しかし野球場の観客に手指消毒をしてもらう事が、はたして新型インフルエンザ感染予防につながることなのか非常に疑問だ。

そもそもなぜ手洗いが奨励されるのか。外部からウイルスなど病原菌を持ち込まないため、あるいは付着しているかもしれない病原菌で、本人が感染しないようにする手段として、手洗いやアルコール消毒が行なわれるわけだ。となると、野球選手に集団感染が認められたからといって観客が手指消毒したところでまったく意味がないわけだ。

マスクについてもおそらく大きな勘違いをしているように思われる。選手とファンとの直接的な交流があるのであればマスクの着用はそれなりに意味があるだろうが、試合をしている選手との物理的な距離を考えれば、たとえそれらの選手に感染者がいたとしても、感染することはまずありえない。

そこまで神経質になるのであれば、野球観戦という多くの人が集まる場所に足を運ぶこと自体が、感染のリスクにつながっていることを認識するべきであり、球団もそのような機会をつくらないために試合を中止するべきだろう。

感染予防の為に何をどのようにするべきなのか、今でも一般の人々への理解が浸透しているとは思えない。新型インフルエンザ対策は過剰反応しつつ、結局は何の利益もないばかりか、極端な話、経済的な損失まで生んでしまっているのが現状ではないだろうか。

大臣が記者会見しても、不安を煽るばかりになってはいないか?それよりも厚労省が具体例を示しながら丁寧に感染予防法を国民に伝える地道な努力をしなければいけない。新型インフルエンザの発生がまだなかった今年3月までに、感染予防に対する有効な啓蒙が一般向けに行なわれてきたとはとても思えない。

どこかで感染者が出たといっても、その場所や施設に行かないなどしたところで、感染予防には何の意味もない。日本国内での推定患者数がすでに6万人に達する事が報道されているが、症状のない感染者を含めるとその何倍にもなるだろう。今、至近距離で話しをしている相手が感染者であるかもしれない。感染を知らずに仕事をしている社員がいる可能性だってある。家族に感染者がいても、本人を含めて誰も気がつかつかないままでいる例もあるかもしれない。あるいはいつの間にか感染していて、家族全員ですでに抗体をもっていることだってあるだろう。

新型インフルエンザはすでに身近な感染症になっているものと考えたい。特別な感染予防を考えるよりも、自分自身の免疫力を落とさないような日頃からの努力が求められる。どんなに手を洗っても、いくらうがいをしようとも、たとえ一日中マスクを着用していたとしても、確実に感染を防げるわけではない。(頻繁にアルコール消毒していても手が荒れるだけ)どんなに頑張って防御しようとしても感染するときは感染してしまう。

感染しても軽症でいられるようにすることが大切だ。少なくとも生活習慣病を指摘されている人は、その改善に努める必要性は大きい。また喫煙者は禁煙することだ。新型インフルエンザウイルスは肺で増殖する可能性が大きいという。気道を含めて呼吸器を健康に保つことは、たとえ感染しても軽症でいられる事ができる大きな条件になる。