タミフル服用について

インフルエンザの主力治療薬「タミフル」は一時供給量に不安があったものの、今のところ十分量が確保され必要な患者には確実に処方されているようだ。

タミフルはインフルエンザウイルスを殺す薬ではない。この点を誤解している人も多いようだが、大変大切なポイントなのでぜひ正しく理解しておきたい。

ウイルスは細菌のように自分自身で増える事ができず、宿主(たとえばヒト)の細胞に入り込んで、宿主細胞内のRNAをちゃっかり利用して自らを複製する。増殖の速度は驚くほど早く、1個のウイルスが24時間以内に数百万個にも達するが、ある程度増えてくると細胞の外に出てくる。咳やくしゃみは、増殖したウイルスを体外に出そうとする働きだ。

タミフルは、増えたインフルエンザウイルスが細胞の外に出ないように、閉じ込めてしまう働きをする。ではウイルス自体は何によって殺すのか・・・・。これは患者自身の免疫力でしかない。

通常タミフルは1日2回、5日間連続服用しなければいけない。ところがタミフルを服用すると短時間のうちに症状が改善することが多く、途中で服用を止めてしまうケースをときどき耳にする。残ったタミフルは次回の為にとって置くそうだが、これは絶対に止めるべきだ!

インフルエンザの症状が改善しても、ウイルスは体内に残っているので、タミフルの力を借りながら自身の免疫力でウイルスを叩かなければいけない。途中でタミフル服用を止めてしまうと、ウイルスが体外に出やすくなり周囲への感染を広げてしまうばかりではなく、タミフル耐性ウイルスを生んでしまう危険性をはらむことになる。症状が改善しても必ずすべて服用しなければいけない大きな理由がここにあるわけだ。

タミフル服用後の副作用を心配して、せっかく病院で処方されたタミフルを飲まないでいるケースもあると聞く。特に子供の場合、服用後の異常行動を心配して、高熱が出なければ飲ませないという親もいる。免疫力さえしっかりしていれば確かに回復も早く、病状を見ながら服用しようかどうか迷っているうちに治ることもあるかもしれない。しかし、前日まで安定した症状だった子供が、一夜明けたら心膜炎で手遅れになったケースも実際にあるので、素人判断で投薬の可否を判断するべきではないだろう。

タミフル服用後の異常行動は日本で報告されているものの、これがタミフルによるものなのか、あるいはインフルエンザそのものの作用によるものなのか、今のところ不明である。国際的にも日本特有の現象として捉えられているが、製造しているロッシュ社では、一応副作用情報として情報を開示している。

子供にタミフルを飲ませた場合は、念のため目を離さないようにして、副作用が出ないか親が監視することは必要であるが、神経質になる必要はないだろう。

現在流行中のインフルエンザは新型ということで関心が高いが、もともとインフルエンザは怖い病気であるという認識をもっていたい。新型があらわれた当初は、パニックのような状態になったものだが、弱毒性と判断されてからというもの、恐怖心が一気に後退して、病気に対して慣れてしまったような印象を受ける。

自分の判断で病状を判断したりせず、症状が出た場合は早めに診断を受け、適切に処置しなければいけない。タミフルの効果は発症後48時間まで。早めの対処が求められる。