カニを食べて寄生虫に感染
『佐賀県は唐津市のホテルで生のモクズガニの老酒漬けを食べた神奈川県の女性(49歳)が寄生虫「肺吸虫」に感染し、肺吸虫症を発症したと発表した。女性は9月25日に同ホテルでこの料理を食べた、10月2日に神奈川県で発症。発熱やひどい胸の痛みに襲われ、11月11日、入院先の病院の検査で肺吸虫症と分った。同ホテルでは9月10日から今月3日までモクズガ二の老酒漬けを提供しており、この間に203人が食べた可能性があるという。』
以上、西日本新聞(11月13日)記事より
さて、このモクズガニは淡水産のカニで上海ガニと同種だ。中国、特に上海料理では上海ガニを紹興酒に漬けたものが出されることがあり出張先などで食べた経験のある人もあるだろう。もちろん上海ガニにも肺吸虫が寄生しており、酒に漬けたところで簡単には死なず、摂食によって感染する危険性は大きい。
この寄生虫の正式な名前はウェステルマン肺吸虫。かに味噌やエラの部分をガラス板で挟んで、100倍程度の倍率で観察すると、比較的簡単に認めることができる。
今は正に上海ガニのシーズンだ。普通は蒸されて提供されるのでまったく問題はないが、生は危険だ。
今回の事例では発症から診断まで1ヵ月半もかかっている。胸部のレントゲン検査では結核に似た所見を呈するものの結核とは診断がつかず、医師の判断を惑わすようだ。症例が少ないということが原因だろう。
ある大学の専門家に聞いたところ、中国でも淡水ガニの肺吸虫寄生率はかなり下がっているという。しかし、感染事故は日本で時々報告されていて数年前には北九州市でも集団感染が起きている。上海ガニの季節だが、くれぐれも生では食べないように。