A型肝炎患者急増
おもに魚介類の生食で感染するA型肝炎の患者が日本で急増していることから、国立感染症研究所では生鮮食品を食べるときには十分加熱することを呼びかけている。
A型肝炎は、感染したすべての人が発症するわけではないが、ひとたび発症すると最低でも1カ月は回復に時間がかかり、その間仕事や家事もできなくなる。重症化することはまれだが、日本で今年に入って4月までに報告された患者のうち1人が死亡しているので、B型肝炎に比べて軽いなどといって決して侮ることはできない。
例年、日本での患者数は年間150人程度であるのに対して、今年は4月18日までで、すでに121人もの患者が報告されている。また3月中旬までの患者発生が毎週5人くらいだったものが、それ以降毎週15人にまで増えているという。原因ははっきりしないが、危険な食品は生鮮食品であることは間違いなく、カキなどの2枚貝には特段の注意が必要だろう。
国立感染症研究所では、食品内部まで85~90度で少なくとも4分間は加熱して食べるように呼びかけている。となると生かきは感染覚悟の上で食べなければいけないことになる。最近の日本産のカキは無菌処理されるものが多いので、従来に比べてA型肝炎やノロウイルス感染する危険性か低くなっていることは確かではあるものの、現在、日本で感染者が増えていることから、しばらくの間は十分な注意が必要となる。
ウイルスは下水処理場で取り除くことが難しい。患者の便からはウイルスが大量に排泄されることから、感染者が増えると川や海といった水系でのウイルス数が増加する。貝類は餌となるプランクトンを取り込むときに、これらのウイルスも同時に取りこんでその体内で濃縮すし(生体濃縮)、それを生食した人が感染する。新たな患者からはウイルスが排泄され再び…。
感染者の手には排便後に大量のウイルスが付着している危険性が高い。発症していなくてもウイルスは排泄されるのでとにかく排便後(トイレの後)は、石鹸でしっかり手洗いする習慣をつけてくことがA型肝炎感染予防の大切なポイントとなる。飲食店従業員は衛生管理の基本動作として身につけておいてほしいものだ。
肝炎であると診断を受けても入院が必要ではないケースもある。しかし、万一の劇症化を避けるためにも、たとえ症状が軽くてもゆっくりと休むことが大切で、決して無理してはいけない。肝炎の治療の第一は休養だ。
A型肝炎の予防接種は必須と考えておきたい。
ちなみに香港での感染者数は、報告があるだけではあるが今年3月までに17名となっている。人口あたりで計算すると日本の3倍程度の発生率であるが、報告されていないケースも相当数あるものと思われる。