ホタテによる貝中毒
本日の報道によると、今月14日と16日の両日、17名がホタテ貝を喫食した後、麻痺性貝毒の症状を訴えていることが衛生署より公表された。
患者は、おう吐や腹痛といった食中毒症状に加えて舌や口の痺れ、視力障害など麻痺性貝毒特有の症状も発現している。ただし一人が入院しただけで、他の患者の症状は比較的軽くすんでいる。
有毒プランクトンを捕食した貝類は、その内臓の中腸腺に毒素をため込んでしまう。暖かくなるとこの有毒プランクトンが大量発生することがあり、特に貝類が毒化しやすいと言われている。ホタテ貝の場合、中腸腺を除いて食べれば確実に中毒を防ぐことができるが、アサリなど小型の貝類では取り除くことができないため中毒を起こしやすい。同様の貝毒では、1940年代に百数十名(資料によって死亡者数が違う)もの死者を出した、浜名湖アサリ中毒事件が特に有名だ。
ホタテ貝の中腸腺は、貝柱の横にある小指の頭大の黒っぽい袋状の塊なのでわかりやすい。今回香港でおきた中毒事件は、複数の街市で購入されたホタテ貝が原因であるが、鮮魚店での処理が不完全であった可能性が極めて大きい。街市でホタテ貝を買う場合はもちろん、スーパーなどで開いて売っているホタテもこの中腸腺が確実に除かれていることを確認したい。
日本では貝毒の検査を常に行っており、規準以上の貝毒が検出されると、その海域から水揚げされるホタテが完全に出荷停止となるため、ホタテはもちろんのことアサリなどでも中毒は起きにくくなっている。しかし潮干狩りで収穫された完全に天然のアサリはまったく監視されていないため、今でも時々中毒が発生している。海水温が高いこれからのシーズンは特に注意が必要になる。
貝毒には、毒素の違いで今回のような麻痺性貝毒と下痢性貝毒の2種類がある。毒素は熱に強く、加熱しても無毒化されることはない。なお毒化するのはホタテやアサリといったプランクトンを捕食する二枚貝であり、サザエやアワビなど巻貝は毒化しない。(アワビは巻貝の仲間です!)