手足口病

自分の子供から手足口病に感染したと思われる35歳の看護師が、その合併症で死亡したことが公表された。この看護師の娘が通う幼稚園では、14日間の休園を決定している。

またKowloonの小学校でも、10歳の学童が手足口病による脳髄膜炎で重体に陥っていることから、14日間休校することを発表している。

香港では今年に入って手足口病の患者は32件確認されており、そのうち3件は重体例だ。この数字は昨年同期に比べて1件多いだけであり、今年の状況が特別とはいえない。しかし今年は集団発生が目立つことや、成人患者が死亡していることなどから、ウイルスの変異が心配されている。今のところ香港衛生署ではウイルスの変異に関しては否定的だ。

手足口病は、口腔粘膜や四肢末端に現れる水泡発疹を特徴とするウイルス性疾患であり、流行の中心は幼児だ。患者の発生は世界中で認められ、決して珍しくはなくしかも症状が軽いウイルス性疾患であるとの認識であったが、1990年代後半から台湾や中国での死亡例が目立つようになってきている。日本でも1997年に死亡例あるいは重篤な神経症状を合併した症例が複数報告されている。

手足口病をおこすウイルスは単独ではないが、もっとも注意が必要なのはエンテロウイルス71(EV71)である。感染経路は経口、飛沫、接触と様々で、身近に患者がいた場合には、非常に感染しやすいと言える。潜伏期間は4~5日くらい。効果的な抗ウイルス薬やワクチンが開発されておらず積極的な治療、予防は行えない。多くのエンテロウイルスに共通して言えることだが、症状が消失しても3~4週間は糞便中にウイルスが排泄されることがあるので、回復したからといってもしばらくは周囲への感染拡大に対して注意が必要となる。

回復後もウイルスの排せつが長期間続くことから、手足口病への対応として、感染した子供の登園・登校を中止するだけでは意味がないというのが専門家の見解である。本来は軽い病気であるということから、これまでは積極的な感染拡大予防がなされていなかった。死亡例が目立ってきたので、厳しい対応をとるケースが出てきたと言える。

感染しても症状が出ないこともあり、成人は子供のころに知らずに感染して抗体を持っていることが多い。ただし同様のウイルスは複数あることから、あるウイルスの抗体を持っていても、もちろん他のウイルスには無効で感染のリスクは残ることになる。今回の死亡した患者の場合がこれにあたる。重症化することは稀であるものの、髄膜炎の症状である頭痛、けいれん、吐き気といったものには要注意だ。

確実な予防法はないが、経口感染することから手をしっかり洗うことが大切。SARSやインフルエンザでも同じ。手洗いは感染症予防の基本行動であることを忘れてはいけない。